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子猫とお茶会 4 ページ39

「それじゃ、Aにとって、黒の組織となんだ?」


客の情報じゃないだろ?

コナン君がじっとこちらの様子を伺う。


なるほど、そういう事。
最初から知ろうと思ってたのは、私のことだったのか。

灰原さんを連れてきたのも、多分何か理由があるんだろう。

…まぁ、別にどうでもいいが。


『二人が期待しているようなことは、ありませんよ。』


私はため息を1つこぼすと、再度コナン君の目を見つめた。


『私は彼らの敵でも味方でもありません。
そして、貴方達の敵にも味方にもなりません。』


完全な中間地点。
それで、私の存在が成り立っている。


「昔の友人の頼みだとしても、味方になってくれないの?」


今度は灰原さんが、口を開く。
彼女は私の情に訴える作戦のようだ。

眉を下げて、切なげにコチラを見る目に少し揺れるが、
騙されちゃいけない。

彼女はもう、昔の友人のシェリーではないのだ。
彼女はもう、灰原哀だ。


『昔の事など引っ張り出さないで下さい。
貴方はもうシェリーじゃないじゃないですか。』


私は声は、思ったよりも低かった。
二人がひゅっと、息を吸い込んだのが分かる。

先程まで明るかったこの部屋がやけに暗く見える。


しばらくの沈黙の後、コナン君が慌てた様に謝り出した。

灰原さんも、悪いことしたわ、と続けて謝る。


「なんつーか、強引過ぎたな。忘れてくれ。」

『大丈夫です。慣れていますから。』


慣れている訳なんか無い。

大切な友人を助けられない罪悪感は、私の心を重くした。
二人から目を離すと、ますます景色が黒くなっていく気がする。

二人の雰囲気もどこか居心地悪そうだ。


「ふぁあ…
あぁっ!!歩美いつの間にか寝てたみたーい!」

「本当だな!紅茶がうますぎて寝ちゃったのかぁ!?」

「…あれ?
コナン君に灰原さんにAさん、そんな暗い顔してどうしたんですかぁ?」


運がよく、子供達が起きたらしい。
私の前にいた二人は一瞬で明るく戻ると、何でもない、と笑った。

「さぁ、オメェら、もう帰るぞ。」

「えー!もっと居たいー!」

「もう閉店時間なんだと。」


彼は、サラリとウソをついて子供達をまとめた。
灰原さんも何処か浮かない顔だが、彼らについて行く。


「Aさん、僕らまた来ますね!」

『はい、お待ちしています。』


また、皆で遊びに来てください。
今度は皆で楽しくお話ししましょう。

そう言うと大人二人は微妙な顔して笑った。

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ネイト - リクエストで「ジンと赤井さんの取り合い話の話」って出来ますでしょうか? (2019年9月10日 7時) (レス) id: 67fc31259c (このIDを非表示/違反報告)
ネイト - 初コメント失礼します!自分こういう内容の小説ドストライクに大好きなので滅茶苦茶嬉しいです!毎日読んじゃうくらいです!私ジン推しなのでジンが出て来て凄く嬉しいです!これからもずっっと応援しています!無理しない程度に頑張ってください! (2019年9月10日 7時) (レス) id: 67fc31259c (このIDを非表示/違反報告)
飛鷹琴葉(プロフ) - 『殺戮の天使』って知ってますか? セリフが似ていた気がするので、勘違いだったらすいません! (2016年10月20日 22時) (レス) id: 2893b59b0a (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ(プロフ) - 言い忘れてましたが、アルビノで差別を受けている人もいます、不謹慎だと思いませんかね? (2016年10月16日 13時) (レス) id: 564a3dbb91 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ(プロフ) - アルビノって目は赤くなるんですよ目には毛細血管いっぱいありますし、目が色素無いってのは可笑しいですよ、メラニンの生合成で色素が薄くて色素が薄すぎて毛細血管がたくさんある所では薄ピンクに見えたり赤く見えたりするんですよ (2016年10月16日 13時) (レス) id: 564a3dbb91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:0.001 | 作成日時:2016年5月28日 21時

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