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「…本当、タツヤが世界に行くなんてな」
「うん。俺もまだ少し、夢なんじゃないかって思ってる」
苦笑いを浮かべたタツヤだが、すぐにその表情は引き締まった。真剣なタツヤの顔を見て、本当に行ってしまうのだと今になって寂しさが溢れる。
「改めて、俺達を支えてくれてありがとう。ここまで来られたのは、Aのサポートがあったからこそだ」
「そんな、大袈裟だよ。…でも、力になることができて良かった」
「Aは居ないけど、代表キャンプでも今まで通り、一番に練習始めて頑張るよ」
けれどそんな気持ちもお見通しなのか、安心させようとするような、タツヤの柔らかな微笑み。答えるように私も笑い返した。
ちらりと後部座席の窓に目を移すと、ヒロトが慌てたようにそっぽを向いた。その顔は何故か不貞腐れている。
タツヤと改まった握手を交わし、黒光りする車に乗り込む背中を見つめた。やはりタツヤも治先輩も、新しいジャージが良く似合っていた。
「それじゃあ、三人とも。いってらっしゃい」
「いってきます、A」
「俺の活躍を、楽しみにしておくんだぞ！」
「はい。勿論ですよ、治先輩」
二人に笑い掛け、助手席に移動したヒロトにも視線を向ける。わざとらしく私から顔を背けているヒロトを呼ぶように、窓ガラスをコンコンと二度叩いた。
ゆっくりと窓が下がり、横目で睨まれる。
「…なんだよ」
「世界にも見せつけてよ、ゴッドストライカーの力」
「…ったりめぇだろ。言われなくてもやるっての、バーカ」
ヒロトの腕が伸びてきて、乱暴に私の頭を撫でる。車が走り出す前、最後に彼が浮かべた笑みに、じわっと目の奥が熱くなった。
「よし、俺達も負けてられないな！」
リュウジの声に、皆が答える。皆揃って練習場へ向かったのは、それから間も無くのことだった。
終わり
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狩間篤花(プロフ) - narutokun0531さん» コメントありがとうございます。長い間私の作品を見てくださって本当にありがとうございます…！これからもお褒め頂けるよう精進して参ります(*^^*) (2019年5月6日 8時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - 初コメ失礼します。単眼のセレーネからずっと読んでます。シリアスと甘い恋愛を絶妙に書き分けられる作者様がとても羨ましいです。この小説も読んですぐに気に入ったのですっ！！応援してます、更新頑張って下さい！！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: a9d6e0cd93 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 輝夜さん» はじめまして(* ´ ▽ ` *)一気読みしていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます(*^^*)お声に答えられるよう、出来るだけ早い更新を心がけたいと思います！ (2019年4月30日 17時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - はじめまして！夢主ちゃんもヒロトも可愛くて尊いです(´；ω；｀)最初から一気に読みました！これからも更新頑張ってください！！ (2019年4月28日 23時) (レス) id: ad533fb363 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 蓬莱山 輝夜＊さん» コメントありがとうございます。私も新シリーズを見てヒロト君に惹かれてしまった者です( ´-｀)更新頑張ります。 (2019年3月28日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2019年3月16日 6時
