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それからの日々、といってもメンバー発表まで、大した時間は過ぎていないが。
私はマネージャーとしての仕事を淡々とこなした。ヒロト達の健康管理も今日の今日までしっかりとやり遂げた。
夏らしい、けれどどこか清々しいような風に吹かれ私は観客席に腰を下ろした。
視界の先にある大きなサッカーボール型のバルーンの向こうには、候補選手として招待された強豪校のメンバーが並んでいるのだろう。
その中に、ヒロトとタツヤ達が居る。フットボールフロンティアの本選に進んだとき以上の高揚感が、澄ました顔でいるのを許してくれない。
快晴の空に波打つ青い旗、既に会場が一体となっているような歓声、それを更に盛り上げるような会場アナウンス。
全てが夢のようだった。ヒロト達と席が離れていてよかったと心から思う。こんなに落ち着きなく会場を見回す姿を見られたくはない。
隣に空いた座席には本当は瞳子監督が座るはずだった。けれど、急用が入ったとかで私のみで会場に来ることになってしまった。
本音を言うと、私としては都合が良かった。確かに興奮や感動を誰かと共有したい気持ちはあるが、それよりも柄でもなくはしゃぐ姿を見られる恥ずかしさの方が勝つ。
考えている間に、私を取り囲む歓声が一層大きくなった。
視線を上げると力強いアナウンスが流れ、会場中の視線が集まる中央ステージに日本代表を率いる趙金雲監督が軽やかに歩みを進める。
私の背筋がぴりっと伸びた。気の抜けた声と共に怪しいボタンを指先で押すと、その上、大きなモニターの映像が切り替わる。
今度はこの場に居る全員を沸かせるような音楽が会場を包んだ。
心の準備をする間もなく、その瞬間はやって来た。木戸川清修の豪炎寺さんを筆頭に次々と代表選手の名前が上がる。
私は思わず声を漏らした。
吉良ヒロトの名前が会場に響き渡った。
感動を噛み締めている私を他所に、更に会場の熱気はヒートアップする。続くようにタツヤ、そして治先輩の名前が歓声の中耳に届いた。
各々が、各々の方法で喜びを表現している。その内の一人である私は、溢れそうな涙を堪えて三人にかける祝福の言葉を考えた。
こんなにも嬉しくて幸せだと感じている。全てを言葉で表現できたならどれだけいいだろうかと自分の稚拙さを恥じながら、移動を始める選手達を見つめた。
向かいの席に居る彼らはとても小さく見えたけれど、その姿は勇ましく力強かった。
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狩間篤花(プロフ) - narutokun0531さん» コメントありがとうございます。長い間私の作品を見てくださって本当にありがとうございます…！これからもお褒め頂けるよう精進して参ります(*^^*) (2019年5月6日 8時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - 初コメ失礼します。単眼のセレーネからずっと読んでます。シリアスと甘い恋愛を絶妙に書き分けられる作者様がとても羨ましいです。この小説も読んですぐに気に入ったのですっ！！応援してます、更新頑張って下さい！！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: a9d6e0cd93 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 輝夜さん» はじめまして(* ´ ▽ ` *)一気読みしていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます(*^^*)お声に答えられるよう、出来るだけ早い更新を心がけたいと思います！ (2019年4月30日 17時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - はじめまして！夢主ちゃんもヒロトも可愛くて尊いです(´；ω；｀)最初から一気に読みました！これからも更新頑張ってください！！ (2019年4月28日 23時) (レス) id: ad533fb363 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 蓬莱山 輝夜＊さん» コメントありがとうございます。私も新シリーズを見てヒロト君に惹かれてしまった者です( ´-｀)更新頑張ります。 (2019年3月28日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2019年3月16日 6時
