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練習が終わり、皆が帰ったあと。私はヒロトの為に練習場の鍵を閉めずに待っていた。
けれど、いつもなら自主練を始めている時間にもヒロトは顔を見せない。タツヤも途中まで一緒に残ってくれていたけど、私から言って帰ってもらった。
やっぱり、私が何かやらかしてしまったのだろう。気分が乗らなくて、勝手に帰ったのかもしれない。
私は大型の扇風機の電源を切って、ボールも片付けることにした。
昨日はヒロトに色々お世話になったし、最後までちゃんと練習に付き合って力になろうとおもっていたのに。
心配な気持ちと同時に、自分の気持ちを踏みにじられたような気分だった。
きっと今の私は、ヒロトに負けないくらい不機嫌な顔をしているに違いない。
器具庫を閉め、人工芝を踏んでパリパリというような固い音を鳴らす自分のスニーカーを見つめながら入り口へと歩く。
手に握った鍵の束にぶら下がる、サッカーボールを抱えたクマのキーホルダーが揺れる。俯く視線の理由は、何も怒りだけじゃない。
私は今日、ヒロトの家に帰っても良いのだろうか。もしかすると、ヒロトはもっと機嫌を悪くしてしまうのではないだろうか。
「わっ」
ぼんやりとした思考の中、視界に見覚えのあるスパイクが入ってきたと同時に、人であろう何かとぶつかった。
鼻の頭を押さえて数歩後退すると、丁度頭に悩ませていた人物がそこに立っている。
「…ヒロト」
「ビビった…前見て歩けよ」
ヒロトはいくらか普段通りに近付いた顔で呑気に注意の声をかけてくるが、私はその姿を捕らえた瞬間、喉元まで一気に上がってきた憤りを吐いた。
「…何処に行ってたんだよ、待ってたのに」
大きなスポーツバックを肩にかけ、ビニール袋を片手に持って目の前に立つヒロトに鋭く言い放つ。
「荷物も全部持ってさ。やらないなら一言私に声をかけてくれたら良いじゃないか」
ヒロトはやはりまだ虫の居所が悪いのか、休憩中の時と同じようなしかめっ面をして、無言でビニール袋を私の目の前に突き出してきた。
「…ん」
「…何それ」
「良いから受けとれよ」
私はどういう意図かと視線を向けたままでいたが、危うく顔に当てられそうな程の勢いでヒロトが袋を揺らしたので、観念して両手で受け取り中を覗いた。
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狩間篤花(プロフ) - narutokun0531さん» コメントありがとうございます。長い間私の作品を見てくださって本当にありがとうございます…！これからもお褒め頂けるよう精進して参ります(*^^*) (2019年5月6日 8時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - 初コメ失礼します。単眼のセレーネからずっと読んでます。シリアスと甘い恋愛を絶妙に書き分けられる作者様がとても羨ましいです。この小説も読んですぐに気に入ったのですっ！！応援してます、更新頑張って下さい！！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: a9d6e0cd93 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 輝夜さん» はじめまして(* ´ ▽ ` *)一気読みしていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます(*^^*)お声に答えられるよう、出来るだけ早い更新を心がけたいと思います！ (2019年4月30日 17時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - はじめまして！夢主ちゃんもヒロトも可愛くて尊いです(´；ω；｀)最初から一気に読みました！これからも更新頑張ってください！！ (2019年4月28日 23時) (レス) id: ad533fb363 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 蓬莱山 輝夜＊さん» コメントありがとうございます。私も新シリーズを見てヒロト君に惹かれてしまった者です( ´-｀)更新頑張ります。 (2019年3月28日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2019年3月16日 6時
