稲妻系アイドル。２【イナゴ】 (ページ4)

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「あ、ちょ……！」

灰色のつば付き帽子を被り、あたしの隣をすれ違った男の子。
きっと、あれは水鳥曰くイナズマ☆５のツンデレ担当・剣城京介だ。

なんで、そう思ったのかは分からない。

でも、直感でビビッと来たんだ。

進路方向を逆向きにして、
早歩きにしながら、男の子へと近づいて行く。

「あのっ、そこの君……！」

「……？」

歩くのが速いからなかなか追いつけなかったけど、
人通りが少なくなってきた廊下でやっと捕まえる事が出来た。

……『捕まえる』ってなんかおかしいけども。

男の子はあたしの声に反応して振り向いた。

――帽子の隙間から見えたのは、
色白の肌に金色の綺麗な瞳……。

……やっぱりそうだ。

「ねぇ、君もしかして剣城――」

「ばっっ！！」

「ッ！！」

「剣城京介君？」そう言おうとした刹那、
男の子は乱暴にあたしを巻き込んで、さらに人目がつかない隙間に移動した。

この反応って事は……。

「やっぱり、そうなんだ」

「……なんで分かったんですか……？
ファンと言っても、ここは公共の場なんですよ……？」

すると、男の子――基、剣城君はあたしに鋭い眼差しを向ける。
……あれ、怒ってる……？

てか思ったんだけど、
なんであたしは剣城君を追いかけたの――？

あたし、イナズマ☆５を好きになっちゃったのか？
いやいやいや、それは無い。絶対無い。

じゃあ、一体どうしてなんだ！？
うわぁ……あたし何か可笑しくなってる……！

「え、いや、そのぉ……」

「……あれ？あなた、何処かで会ったことあります？」

「あ、えっと……」

「……もしかして、昨日のビルに来ていた人ですか……？」

何故に分かった？

確かに会ったけれど、早々分かるもんじゃ無いと思う。
でも一応あたしは「え、ま、まぁ……」とぎこちなく返事をした。

「そうですか……！
すみません、昨日は……」

剣城君が何かを言おうとした瞬間、放送が流れた。

『宮嶋様ー、宮嶋様ー。至急、受付まで来てくださいませ』

「あ、ごめんなさい。あたしもう行かなくちゃ」

「こちらこそ、すみませんでした」

剣城君から開放されると、
あたしは一目散に受付へと走り出した。

何で走ったのかはよく分からない。
でも多分、剣城君から逃げたかったんだ。

……何か心がもやもやする。

「……宮嶋、って言うのか……」

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