稲妻系アイドル。２【イナゴ】 (ページ13)

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いきなり走ってきたと思ったら、
急にその謎の少年は剣城君に抱きついて……。

ただいま現在進行中でパニックになっています。

「えっ、と……」

「剣城ーっ！！会いたかったぞー！！」

「……キモい」

何がどうなっているのか分からない自分。
妙にテンションが高い謎の少年。
そして、その少年に抱きつかれ、死んだ目をしながら罵声を浴びせた剣城君。

はぁ、人間ってこんなに一つの場面で感情がこんなに変わるんですね、初めて知ったわ。

……ってそうじゃなくて！

「ねぇ、剣城君……？」

「……何ですか？」

「……その抱きついてる子、誰？」

あたしがそう言うと、さらに剣城君はげんなりしてしまった。
何か言わない方がよかったかも……？

そう思っていたら急に剣城君が、
抱きついている少年をそれはもう清々しそうに剥がした。

って、剥がしたって使うのはどうかと思うけど……、
でも、どこからか「ベリッ」と幻聴が聞こえてきたから剥がしたって言った方がいいのかも。

にしても、少年の扱い雑だなぁ、剣城君。

「えっとですね……こいつは白竜って馬鹿な奴です」

「そんな馬鹿って言わなくても……」

「いや、馬鹿です。見てりゃ分かりますよ」

あんなにクールだった剣城君がこんな嫌気を刺しているなんて……、
この子は一体何者なんだろうか？

ま、まさか、剣城君の追っかけ――ううん、そんなわけ無いよね！
うん、そんなわけ……。なんか、ある気がしてきたかも。

すると、剣城君に剥がされていた少年――基、白竜君が、
バッ！と起き上がった。

びっくりしてあたしはつい「ヒッ！」と声を上げてしまう。

「剣城、ひどいじゃないか！こんな事するなんて！！」

「うるさい黙れ。つか、消え失せろ」

「ならば剣城の望みのままに……」

「何なんだよお前！？ Mなのか！？」

「俺は究極だッ！！」

「……ハァ」

……でもなんだか、

剣城君、白竜君と喋ってて楽しそうなのは、気のせい……かな？