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Dry or Wet Peace-16 ページ38
跡を追いかけた先に居たのは、しゃがんで大きな背中が小さな彼だった
前に、悠人くんと喧嘩したときもこんな風に小さくなってたな…
なんて、感傷にふけろうとした
「すまねぇな…ウサ吉…」
苦しそうに、誰かに助けを求めるような…か細い声が漏れる
ここに今あるのは、押し殺したような【男の子の泣き声】と静けさだけで
私は…小さな背中を抱き締めた。身体が、ピクリとなる
「あなたが嫌だって言っても、私がこうしたいからしてるだけ」
涙声で隼人は
「もう、放って置いてくれ…」
そう言ったきり、黙ってうさぎを抱えたまま動かなくなる
「腕の中の生き物、連れて帰るの？」
「側に居ていい…」
いくら話しかけても、返事は無い
「帰りましょう？学校の人心配させち…」
「……黙れ。お前なんかに、俺の気持ち…理解出来ないだろ」
何かにすがるように絞り出されて出た答えに偽りなんてないと思う
だからこそ…
「知っても、軽蔑なんてしない」
分かりたいんだ。レースで何が起きたのか
雨雲が濃くなり、シャワーのように雨が降り注ぐ
「軽蔑する価値なんてないからだろ？」
言葉と言うナイフが柔らかく温かい部分に突き刺さった気がした
でも、この腕を離す気は全然起きないみたいで…
隼人が泣き止むまで私はそばで、ただひたすらそばにいて…泣き止む頃に…
「私はどんなことが起きたとしても、隼人の味方であり続けるから」
雨音にかき消されそうなか細い声でイツワリナイ本音を聞こえないようにつぶやいた
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作者名：イナユキ | 作成日時：2015年2月6日 19時
