Dry or Wet Peace-11 ページ33
紫陽花に滴る雫が綺麗な季節になった
去年の今頃ってなにしてたかな…なんて物想いにふけろうと頬杖をつく
明日は隼人のスプリントレースの日
気持ちを全て言ったらぎこちなくなると思ったのにそんなことは全然なくって、むしろ
言ってしまった今の方が以前より仲が良いように思える
伝えられて良かった…好きって口にしなくても分かっていてくれる隼人が大好きだ
・
・
・
「この美形と食事をしているというのにどーした？退屈って顔に出ているぞ？」
「オフェふぁうっふぇふぁらふぁひへへんひゃふぇー？(お前がウッセから呆れてんじゃねー？)」
「……ごめん。何言ってるか分かんなかった。荒北くん」
東堂くんがグーパンチを荒北くんにお見舞いする
「荒北！俺は五月蝿くなどないのだよ！それに、口に物を入れたまま喋るな！」
飲み込む音がして
「東堂…テメェ今誰に手ェあげたか分かってんのォ？」
怒った荒北くんが腕をまくりあげた
「食べ物を含んだままのお前が下品で見るに耐えんから、悪いとは思わない」
冷やかな眼差しのまま東堂くんは睨みつける
「上等じゃねーの！ツラ貸せや！」
「望むところだ」
そんな二人を見てのほほんと、本気なんか出さない癖に…と思っている
けど、まぁ騒がしいのは苦手なので
「落ち着いて二人とも！ここ、教室。」
机を強く叩き、ドスを効かせた声でやんわりと仲裁する
「ワっ、悪ィA！」
「すまん Aさん…」
周りの視線なんてもう気にしてないんだけど、そんなあからさまにシュンとされると
ヘコむな…
「ごめん二人とも…私がぼんやりしちゃったのは、答えまだ貰ってなくて自信がなかっただけ…」
「数学の小テスト帰ってくんの５時間目だろ？」
荒北くんが牛乳パックから口を話して言う
「数学じゃなくてね、この間さ…」
新開君に告白したことをザックリと説明する
荒北くんは神妙な感じで東堂くんは青ざめてながら聞いてくれた
「っつーか、新開とAまだ付き合ってなかったワケ？」
「荒北！Aの鈍感さと新開のヘタレさを鑑みれば、これは凄いことなんだぞ！」
乾いたように笑ってその場は誤魔化す
答えが欲しくたって彼にとっての私の立ち位置なんて自覚してるんだ
自覚しても手を伸ばさずには居られない
「無理すんな」と、荒北くんは頭を撫でる
ドロドロした部分を隠して私は荒北くんを見て頷く
東堂くんがどんな顔で私を見ているかなんて気付かずに
Dry or Wet Peace-12 東堂side→←Dry or Wet Peace-10 新開side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イナユキ | 作成日時：2015年2月6日 19時
