Twelfth result ページ18
荒北君と私はクリスマス一色な街へ買い出しに降りていた
「雪積もってるね…」
「クッソさみーっての！どっかで暖けえ飲みモンでも飲むぞ！」
迷子にならないようにと手を繋ぐ
「フフッ！暖か〜い荒北君の手！心は冷たいのかもね」
「オゴってやろーと思ったのやめとくか…」
惚けたような声で拗ねる荒北君をしゃがませて、耳にそっと囁く
「荒北君は優しいって知ってるよ私…」
口元を押さえ横を向くと、可愛らしいカフェへ引っ張って行く
「なに飲みてーの雪菜チャァン？」
そう、入口で聞く荒北君に私は元気良く「ココア」と言った
嫌そうに「分ぁったよ」と言いつつも荒北君は店員さんにココアとカフェラテを注文する
「お会計は別がよろしいですか？」
店員さんはお決まりの事を言う…ポーチからお財布を出そうとした時だった
「一緒でぇお願いしまーす」
そう言って手早く支払い、席まで飲み物を持ってく荒北君
「あとで返すね…」
「いらねー。ンなモン」
変な物でも拾い食いしたのかと思うくらい、今日の荒北君は優しい
(どうしたのかな？)
席につき、向かい合う私達は飲み物を一口飲むと自然と笑みが溢れた
「で、アイツらにやるモン決まったのかー？」
「うん。寿一はキティちゃんの限定フェイスタオル…って」
荒北君は笑いを堪えている
「どうしたの？」
「福ちゃん、キティ好きなのか…」
「初めて、ニャンコ抱いた時、『リンゴ３個より重いな』って言うくらい好きだよ、キティ」
呆然となる荒北君に言葉を続ける
「あと、サンタクロースも信じてるし…」
「マジか…」
各々のカップが空になり、外に出ると雪が降り出していた
「積もるかな…」
呟く私の手を荒北君が握る
「知らねー」
そっとマフラーを上げ、吐く息は白い
コッソリ荒北君用のクリスマスプレゼントの用意しなきゃと頭の片隅に思いながら
荒北君と私はお店に急いだ
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作者名：イナユキ | 作成日時：2015年2月6日 19時
