理不尽 ページ9
そもそも何で私の名前を
知っているのかがわからない。
ヒロインは顔が広いんだろうなぁ。
なんつって
咲「え、っと…あかん？」
少し上目遣いをしながら私に問いかけてくる。
言えるわけがない。
ここで私が言ってしまったら
金髪くんは私に本気で怒るであろう。
やっとできたお友達を失いたくない。
もう、嫌なんだ。
貴「いいよ！」
ああ、まただ私はまた顔を勝手に、無意識に作る。
気持ち悪い笑顔を。
金髪くんが怖くて、横を見れなかった。
金髪くんの視線の先は
私ではなかったのかもしれないけれど。
昼休み
咲「Aちゃん！一緒にお昼食べへん？」
可愛らしい声で教室を訪ねてくる。
クラスの男子の目線はヒロインに夢中で。
貴「はーい！」
私は二人でお弁当を食べる。
吐き気がした気がしたが
それを誤魔化すように口いっぱいに放り込む。
そんな日が何日か続いたとき、異変が起きた。
ヒロインの体に
_____________痣ができた。
あまり外で動くような子ではなく、
どちらかといえば室内で静かでいるような子である。
そのため、痣ができることは
あまりないはずであるが不自然なほどに数が多い。
怪しく思って聞いてみるが何もないの一点張りで
何一つとして明かす気はなさそうだった。
私は頑張って気を遣っているのに。
私は頑張って心配をしているのに。
貴「ほんと、ヒロインはいいよなぁ。」
ポツリ、口からこぼれ落ちる。
ふと近くにいたクラスメイトからこんな声が上がる。
「やったのって芭菜川さんやない？」
え？
は？
「あ？どういうことや？」
どすのきいた声でこちらを睨み付けてくる金髪くん。
おいおい、お友達じゃなかったのかよ。
「最近、謎に一緒におるし、」
お友達になろうっていわれたからね。
「二人きりで帰ってるし、」
んなもん証拠になるのか？
「さっき、ヒロインはいいよなぁって言ってたから」
嫉妬でやった的なあれか？
「おい、Aちゃん、ほんまか？」
その目は
ねぇ、
その目は
お前がやったんやろとでも言いたいような目。
完全に私を疑っている目。
否定しようがしまいが金髪くんは私を信じない。
理不尽極まりない。
ヒロインだけなんて、ずる。
「なあ、何とか言えや。」
さっきよりも鋭い目でこちらを見てくる。
顔に穴が空きそー
貴「私は、やってない！」
我ながら演技が上手いと思うわぁ。
「じゃあ、誰がやったん？」
は、知るわけないだろ。
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作者名：ゐ。 | 作成日時：2022年6月12日 19時
