フラグ ページ12
放課後
鞄をとりに教室まで行かなくてはいけない
クラスメイトと会うのは気まずい。
となると、
貴「待つかぁ。」
治「お？奇遇やな、同じこと考えとったわ。」
少し歯を見せ、いたずらっ子のように
笑う灰色くんに少し脈が早くなった気がした。
それはない、気のせいだわ。
体育館裏から少し顔を出してみる
校門に向かって歩いている人は誰も見えなかった。
皆帰ったと思い
お互いのクラスへ鞄をとりに向かった。
教室に半歩足を踏み入れた瞬間
「どこいっとったん。」
左側から声が聞こえる。
そういえば、廊下に近い列だっけな。
今一番聞きたくない声。
それは低く、初めてあった日を彷彿とさせる。
左側へ顔を向ける。
貴「うーん、トイレ？」
少し首をかしげ
気持ち悪い笑顔を向けてあげる。
「あっそ。」
すぐに視線をそらされた。
なんだよ
と思えば急に机に突っ伏し始める。
なんなんだこの人は。
私は自分の席を見た。
そこにあるはずの鞄はなかった。
貴「ねぇ、私の鞄知らない？」
少し声を高くして聞いてみる。
「ここにあるで。」
貴「なんでそこにあるの」
と少し笑いながら金髪くんの背中に近づく。
あと二歩くらいのところで
金髪くんが勢いよく立ち上がった。
「あ、の！今日のことなんやけど、」
なんとなく嫌な予感がする。
「その、ご「あのさ！」…なんや？」
私に背中を向けたまま聞いてくる。
顔くらいこっちに向けたら？
貴「もう時間ないし、帰らないの？」
治「そうやぁ。はよかえろや。」
私は驚いて反射的に扉の方を見る。
扉に寄りかかりながら
鞄を持ちこちらを見てくる灰色くんがいた。
「なんでおんのや！」
治「別に俺がおってもええやろ。」
はぁ、と小さく息を吐く金髪くん。
「ほれ、早よ帰ろ。」
私の鞄を持ち、廊下に出る金髪くん。
えぇ、早く返してよ。
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作者名：ゐ。 | 作成日時：2022年6月12日 19時
