ソードアート・オンライン【桐ヶ谷和人】 (ページ3)

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▼情けないページ3

肌を切るような極寒。

だがそんな季節も、ゲームの中に居れば敵ではない。

パイプのベッドに身体を倒し、俺は目を閉じる。

たった今帰ってきたばかりだが、

何にも目をくれず、家族にさっと挨拶を済ませてネットゲームに手を伸ばす。

これが俺の、桐ヶ谷和人の日課だった。

もちろん、ちゃんと食事はとっているし、

学校にも通っている。

だがあまりにもゲームの世界に入り過ぎると、妹の直葉に怒られてしまうので、

一応加減はしているつもりだ。

もともと俺はネットゲームに手をつけていたし、SAOという仮想現実ゲームのプレイヤーだが、

今は、ダンジョンをクリアする事より、

自分の心の傷を癒やす為に通っているようなものだ。

俺には恋人がいる。

とても優しくて、健気で、可愛かった。

彼女自身も、俺のことを好きだと言ってくれている。

彼女は俺が買い出しなどで帰りが遅くなると、俺の家で晩ご飯を作り、

顔も出さずに俺が帰る前に帰ってしまう。

そんな気配り上手な彼女を、

何よりも大切にしていた。

大好きだった。下手をしたら、愛しているとも言えるだろう。

さすがに、恥ずかしくてそんな事を言ったことは無いが。

そんな彼女が、病に苛(さいな)まれた。

彼女の身体は会う度にやせ細り、骨ばっていった。

彼女は面には出さないが、かなり負担がかかっている。

身体の節部が激痛に襲われ、時には40度を超える高熱に苦しんだという。

当然、彼女は俺にそんな事を一度も話さなかった。

彼女は俺が来るといつも嬉しそうに、

まるでプレゼントを貰った子どものように喜び、笑った。

彼女がそんな苦痛に耐えていると知っておきながら、俺は何もしてやれなかった。

俺は…………

そして今日も俺はそんな現実から逃げる。

ソードアート・オンラインへ。

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