🌹―真紅の暴君。 ページ16
AShift
『……んぇ……？』
「「「A！／A先輩！」」」
目を覚ますと、僕の顔を覗き込む皆が目に入った。心配そうに見つめてくる。何かやらかしたっけ……。
ドンッ。
『いてっ。』
そうこう考えていると、腹部辺りに何か衝撃が走った。なんだ？と視線を落とす。
『ケイト、先輩…？あの、どうして泣いて…』
「…ばかっ…。」
『へ？』
「…Aの馬鹿ぁぁあ！」
「「ケイト！？」」
「俺めっちゃくちゃビビったんだけど！？なんか勝手に闇落ちバーサーカー状態のリドル君に突っ込んで行くから！しかも魔法の衝撃でAぶっ飛んでったし！
どうしてくれんの？！俺、寿命縮んだよ！？このままAが起きなかったらどうしようって。もしAが起きなかったら俺も闇落ちバーサーカー状態になるかも。
そうなったらA一生恨むからね？だから、もう絶対勝手に突っ込んでいかないで！分かった？」
『え、あ…ハイ…。』
凄い。ケイト先輩さっきの台詞一息で言い終わったよ。よく一息で喋れるな…。ある意味すげぇ。
「…A…。」
次に僕に声をかけたのはボロボロの寮服を着ていたリドルだった。え、もしかして僕が止めるの遅すぎたせいで大怪我したんじゃ…！！
『！リドル…！怪我は？！何処か痛い所はありませんか？！まぁ何てこと…！？寮服ボロボロじゃないですか…！僕が寮服直しますので、着替えを…』
「A。その…えっと…、
――ありがとう。
それと、僕…Aに無茶を…」
申し訳無さそうに僕を見つめてくるリドル。別に僕が勝手に動いただけだから、リドルは悪くないんだけどな…。
『！……ふふっ。僕はリドル、貴方が無事ならそれで良いんです。
それに、
自分を“正しい”と思えるようになれたんでしょう？
なら、それで十分です。』
「！！A……。」
僕が目を覚まさない間になにがあったのかは知らない。でも、それで良いんだ。リドルが独りぼっちから抜け出せたなら。
『貴方は、誰よりも立派な寮長ですよ。』
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作者名：日菜 | 作成日時：2022年9月12日 13時
