🍀仕事2個目。 ページ4
国見「あの子ならマネージャー頼める、って。」
『そう、なんだ。』
廊下を国見君の隣で歩く。
さっきから、会話を繋げようと必死に話題を探している。
別に、無言のままでも良いんだけどな、と喉まで出かかったのを飲み込んだ。
国見「…………。」
『…………。』
けど、国見君もあまり会話を好むタイプでは無かったそうで、スッと途切れた。
足音だけが耳に入ってくる。
国見君、身長が高いからか、歩幅が大きい。
その為、歩幅が小さい私は少し駆け足状態。
すると、それに気付いたのか、歩幅を私ぐらいに合わせ始めた国見君。
チラチラと、私の足元を確認している。
『……気にしなくて大丈夫、ですよ。歩幅。』
私なんかに気を遣ってくれているのかと思うとなんだか申し訳なくなってくる。
……いや、端から気なんて遣っていないのかもしれないが。
国見「いや、俺も少し歩くペース速すぎたから。」
『…そうですか。』
国見「あと、まぁAさん、が嫌じゃなければだけど…敬語じゃなくて良いよ。」
『へっ…?』
国見「あ、ごめん。いつもの癖で、名前で呼んじゃった。」
『いつもの癖?』
国見「…………うん。」
どう呼ばれていようが気にするつもりは無かったけど、国見君が会話を繋いでくれているからとりあえず聞き返してみる。
国見「その……部活の時とか、最近Aさんの話題で本当溢れかえってて。」
『そんなに…?』
一体何をやらかしたんだ私は。
国見「それに、ちょくちょく1年全クラスでとかのレクレーションとかあるじゃん。その時、結構Aさんと遭遇率高いから、勝手に名前で呼ばせてもらってる。」
なんかごめん、と最後に一言付け加えた国見君。
そんなに遭遇してたっけ。
レクレーションの記憶すら殆ど覚えていない私は流石に失礼だな、と思った。
国見「嫌だったら苗字で呼ぶけど。」
『……別に、どっちで呼ばれても気にしないから大丈夫。』
国見「………分かった。」
数秒、間が空いた。
あれ、及川さんと話してるときも間が空いてたな。
とか言っているうちに、体育館に到着した。
ふとギャラリーに視線を移すと、沢山の女子が集まっていた。
そして、その視線がバレー部ではなく、私に向いていることに気付いた。
国見「またいるし……。あれ、全部及川さんのファン。あんまり顔見せないほうが良いかも。」
『えっ、』
そう言って、国見君はふわっと私の頭に上着を被せた。
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作者名:日菜 | 作成日時:2023年10月30日 1時