Hooked (ページ38)

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side tetsuto

"お土産いる？"
その一言と共に送ったのは
同じ班の友達と撮った写真

お土産を渡すなんてのは正直建前で
本当は美良に会いたかっただけ

美良は仕事で最近はずっと欠席していて
ずっと直接話せてなかった

だから、ただ会いたかっただけ
なんやけど、返ってきたのは想像と違う言葉
"大丈夫です、楽しんできてください"
そんな素っ気なくて他人行儀な言葉

そんな言葉が欲しくて送ったわけじゃない
おもんな、そう思い思わずため息が出る

「何ため息ついてんだよ、修学旅行なのに」

山田「修学旅行のお土産断る後輩って居ると思う？」

「さぁ？人によるだろ」

「ってか、野球部の奴らは断らないだろ」

山田「違う後輩」

「へー」

それからお土産を買いに他の人が見てる中
俺はもう家族の分も
他校の友達の分も買い終わって
1人でケータイをいじってた

友紀「何してんの？」

山田「ケータイいじってる」

友紀「見てたらわかるよ」

同じ班の白石に声をかけられる

友紀「そうじゃなくて……
お土産もう買い終わったの？
皆んな色々見てるけど」

山田「終わった」

友紀「ふーん」

友紀「ねぇ、暇だし一緒に見ない？
私も全部買っちゃったし」

山田「別にええけど」

特に理由も無い
ただ時間潰しでOKした

友紀「あ、これ、この名物なんだって」

山田「へー」

ヤバい、思ったよりつまらない
これならケータイいじってたら方がマシやった
美良やったらもっと楽しかったのに、なんて
考えても仕方ないことを思う

友紀「あのさ
さっき聞こえちゃったんだけど」

山田「何を？」

友紀「ほら、お土産いらない後輩さんの話」

山田「あー、気にせんといて
ちょっとした世間話やし」

友紀「……もしかして、名取さん？
ほら、女優の……」

山田「さぁ」

友紀「仲良くしてるんでしょ？」

敢えて曖昧な表現にして濁したのに
わざわざ深掘りしてくるあたり
遠慮ないっていうか、面倒臭い

山田「仲良いよ、ってか白石に関係なく無い？」

発した声がいつもの数倍低く
苛立っているのがすぐにわかった

なんでこんなにも苛立ってるのか
それは単純で明確な理由だった

思い通りの返事が来なくて
しかも、素っ気ないし他人行儀
それなのに興味の無い女が寄ってきたから

友紀「………そっか、そんなに仲良いんだ
ごめんね、深く聞いちゃって」

それからすぐ白石は他の友達の所へ行った