絶賛錯覚中 (ページ9)

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「素直に物事を伝えられる人って、いいですよね。私もそうなりたい」

「素直に？」

少し驚いたように、座り直して私に顔をむけるジュンフィさん

「はい。私全然素直じゃないから、なんだかそういう子を見るといいなぁ、私もああなりたいなぁって」

「ん～。そっか～…」

うんうんと頷いて、少し考え込むように下を向く優しい人

「素直に言えることが、毎回必ずしもいいことじゃないような気もするけど」

「……？」

ジュンフィさんは、頭にはてなを浮かべた私を見るとフッと笑ってまた口を開いた

「だって、みんながみんな素直に物事を伝えたら、どこかで衝突があると思わない？毎回素直である必要はないと思うよ。もちろんそういう場面も大切だけど、その時によって使い分けらたらいいような気もする」

なるほど。

いつも他愛もない話をしていた私は、この時初めて、ジュンフィさんに悩み事のようなものを打ち明けた

そうして思い知った彼の職業

なんだか今まで優しいお兄さんのようだったのに、ああ、この人はスクールカウンセラーなんだって、そう思った

「人のこういうところがいいなぁと思って、そうなりたいと思うのはいいこと。だけど、自分らしさも忘れないでね？」

そう言って少し首をかしげるジュンフィさんのことを

なんだか遠い存在で、大人なんだと、思ってしまった