絶賛錯覚中 (ページ45)

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電車はすぐに来た

サラリーマンがたくさん乗っていて、乗るのも一苦労だ

「入れるかなぁ」

「大丈夫だろ」

「ていうか、手」

いつまで繋いでるの？

「たまにはよくね？」

意味がわからない、キムミンギュの発言も、ドキドキしてる自分の感情も

なんとかぎゅうぎゅう押されながら車内に入ると、キムミンギュが大きい体で人をかき分け、奥の方まで連れて来てくれた

私は今、入ってきたドアと反対側のドアに背中を向け、寄りかかっている

そんな私の前にはキムミンギュが、

キムミンギュが、

「これ壁ドンじゃね？」

壁ドンみたいな状態になってしまっている

「なに、照れてんの」

「照れてない」

「素直じゃねえなあ？」

キムミンギュが大胆すぎるんだって、

「あ、」

私ごしに窓をみたキムミンギュは急に少し険しい顔になって

突然

私の髪を耳にかけて、耳に唇が触れるか触れないかのところで

「ほんと髪綺麗だな」

鼓膜に直接声が届くような気持ちがして、思わずビクッと反応してしまう

「やめてよ、」

「あは、これは失礼」

のんきに私の髪をいじりだして満足気なキムミンギュは、また私ごしに窓の外を見た

その時電車のドアが閉まる

私は気がつかなかったんだ

キムミンギュが見ていた先、つまり隣の電車の窓越しの車両の中

こちらを無表情で見ていた

ジュンフィさんの存在に