夢の中で (ページ32)

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32 DINO side ページ32

あの日から、もう大分経つな

僕らは日本でのコンサートやサイン会をとうに終えて韓国に戻って来ている

日本でのサイン会は結構あったけど、Aちゃんが再び僕の前に現れることはなかった

『あの子はもう来ないのー？』って何度ヒョンたちに言われたかな

正直、会いたくてたまらない

何が僕をそんなに惹きつけてるのかわからないんだけど

今でも顔を思い出すし、あの感触だって忘れたことなんてない

あの子だって、僕を末っ子としてしか見ない

でもきっとこんな僕でも受け入れてくれるんじゃないかって

…何に期待してるんだろう

ある夜、自主練習をしていて練習室で1人疲れて倒れている僕のもとに、スンチョルヒョンがやって来た

『チャニ、ちょっと話そう』

黙って俯く僕に冷たいペットボトルを投げてよこすヒョン

『お前、最近様子が変だってみんな心配してるぞ？』

ヒョンは僕が何か言うのを待っていたけど、何も言わないでいると言葉を続けた

『…逃げんなよ。ちゃんと自分の手で掴めって』

顔をあげると、優しい目をしたヒョンがいた

『お前は色々我慢しすぎだったと思ってる。末っ子だから、子どもだからって言われてもたくさん耐えてきたよな。でもさ』

僕の目をまっすぐに見る

『ちゃんと自分の気持ちくらいには、正直になれよ』

『あのね、ヒョン』