夢の中で (ページ22)

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ガヤガヤ…

サイン会が終わって会場からどんどん人が出て行く

スタッフさんが残っている人たちを出口へと追いやるけれど、私だけはスルーしてくれているみたいだ

最後の1人が会場を出て、私だけになる

ほうっと一息ついて

会場をもう一度見渡す

私、生でセブチに会ったんだなぁ

どれくらいそうしていただろうか

『Aちゃん！』

聞こえたのはディノちゃんの声

振り向くとディノちゃんがこちらに向かってきていた

『ディノちゃん～！！』

ほわっと心が温かくなって、口角が上がる

私のところまで走ってくると、少し高くなった目線から私を優しく見下ろす彼

『…我慢しなくていいよ』

その言葉になんだか安心して、目の奥がじわっと熱くなる

『久しぶり』

そう言って私の頭を撫でるディノちゃんは、全然変わっていなかった

『僕も我慢しなくていいかな』

言葉の意味がわからずにいると、ふわりと彼の腕が私の背中に回る

ディノちゃんの肩越しに見える景色がついにぼやけた

『…会いたかった』

耳元で囁かれる言葉と

強くなる腕の力に

私の胸の高鳴りは止まることを忘れてしまったみたいだ