第三十八夜 神の思い ページ38
__________私はどうやら、危険な状況であればある程冷静になるらしい。
「ッ!!」
「きゃあ!?」
振り返り方に斜め後ろに立っていた早苗さんを押し倒す。その直後、右の襖から突き出ていた白い刀身が私と早苗さんの首があった辺りを一閃した。
「え、な…」
「早苗さん立って!!こっちに!!」
混乱している早苗さんを引っ張って立ち上がり、元居た部屋へと戻る。そこには既に戦闘態勢を取った神奈子さんと諏訪子さんが居て、諏訪子さんは鬼の少女を抱き抱えていた。
「早苗、鬼を連れてAと一緒に逃げて。」
「え、で、でも、諏訪子様……」
「いいから早く行って!!今の私達じゃ、早苗達を守り切れる自信は無い。」
「………諏訪子、様………」
「A。」
目を向けると、大きな円になった注連縄を腰につけた武装状態の神奈子さんが一言だけ告げた。
「早苗を頼むよ。」
「…………はい。」
静かに頷き、諏訪子さんから鬼の少女を預かった私は、早苗さんの腕を掴むとスピードを上げて飛翔し、守矢神社から遠ざかっていった。
「なっ!?Aさん!!」
「静かに。敵に逃げた方向がバレます。」
「何言ってるんですか!!?神奈子様が、諏訪子様がっ!!お二方はまだ怪我をっ!!」
「じゃあ貴女に何が出来るんですかっ!!!」
「っ………!?」
飛びながら激昂する。そうする間に、背後からは爆音が響いてきていた。
「あの方達は神です、一度敗れた相手に手負いで勝てるとは思っていません!!それでも貴女を逃がすために、ああやって戦っているんです!!今から戻って傷付くつもりですかっ!!」
「っ……それは………でもっ……!!」
「…少し言い過ぎました。でも今の私達に出来る事は、一刻も早く逃げる事です。」
「………」
「行きましょう。」
震えながら俯く早苗さんを連れて、博麗神社を目指す。あそこなら文さんも居るし、霊夢さんも戻っているかも………
「______ッ!?」
瞬間、私は気付き全力で降下した。
「きゃあああっ!?」
「早苗さん、この子を!!」
木々の間に降り立った直後に鬼の少女を早苗さんに押し付け、また急上昇する。
「…………………来るか。」
遥か上空で止まり、元来た方向を見据える。
遥か先には黒い一点が見え、ソレはほんの数秒で私の目の前に来て止まった。
赤と、白と、黒を振り撒く“オニ”の少女が。
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文月鎖夜(プロフ) - swksさん» おおお、お久しぶりです。頑張れ……ばいいのかな?頑張りまーす(( (2016年3月30日 22時) (レス) id: 3c35e627c1 (このIDを非表示/違反報告)
swks - 久しぶりに見たけどここだったのかーいいぞ!もっとやれ(真 (2016年3月30日 21時) (レス) id: abf12aecc0 (このIDを非表示/違反報告)
文月鎖夜(プロフ) - 明日こそ……更新を………ガクッ (2015年6月4日 16時) (レス) id: 8b8cd9f128 (このIDを非表示/違反報告)
文月鎖夜(プロフ) - 更新頑張ると言ってすぐですが、ちょっとテスト間近なので更新休みます。(はよテスト終われー) (2015年5月24日 22時) (レス) id: 8b8cd9f128 (このIDを非表示/違反報告)
文月鎖夜(プロフ) - 優里佳さん» ありがとうございます!!!これからも見て下さると嬉しいです♪更新頑張ります(*^▽^*) (2015年5月22日 22時) (レス) id: 8b8cd9f128 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文月鎖夜 | 作成日時:2015年3月25日 22時