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第三十六夜 人間と吸血鬼 ページ37

「咲夜から話は聞いたわ。確かに以前霊夢とそんな感じの約束をしていたから、何本か渡すわね。」
「…………お手数お掛けします。」
 主人のすぐ斜め後ろを歩く。見た目は私よりももっと小さいのに持っている力の差は歴然だ。
「……それにしても、少し意外ね。そこまで警戒しているのにこんな近くまで寄ってくるなんて………何か吸血鬼対策でもあるのかしら?」
「………別に無いですよ。ただ、距離を取った所でどうにかなる相手ではないので。」
「………ふふ、見定める力は聡明ね。」
「…………」
 クスッと笑って振り向く主人の顔は見ずに床を見つめる。………はぁ、いつ死ぬかな私………それにしても………
「………ご主人、一つよろしいですか。」
「その呼び名を変えるならいいわ。」
「…………………」
「レミリアと呼んで頂ける?」
「……でしたら結構です。」
「あら、傷付くわね。」
「恐れ多いです。遠慮します。」
「そう……………なら、呼ぶまで血を吸い続けるわ。」
 直後、目の前の小さな背中は消え背後に気配を感じた。
「ッ」
「ほら、早く呼んで?さもないと……人間ではいられなくなるわよ。」
 白い手が伸びて私の首と腹に触れ、動けなくなる。抵抗しなくても分かる、人間ではこの手を振り払う事は出来ないだろうと。
「…………レ、レミリア様」
「何故様付けなの?貴女は客人なのよ。」
 客人に普通はこんな真似しないっ!!と思いつつ、迫る八重歯に危機感が膨れ上がり叫ぶように言う。
「レッ、レミリアさん!」
「…………貴女容姿も整っているし、眷属にしたらうちで雇おうかしら。」
 火に油を注いだようで、遂にその歯が首筋に触れた。
「__________ッ、レミリア!」
「………どうしてそんなに嫌がるのかしら?訳を言って?」
「………格上の方を呼び捨てになど恐くてしたくありません。」
 首元、つまりいつでも噛み付ける位置に顔を寄せられたまま聞かれ無言など使える訳も無く、本心そのままに答える。
 ………しばらく沈黙が続いたがやがて気配が消え、瞬きする間に小さな姿は斜め前に立っていた。
「………高貴な吸血鬼としてそういう言葉は嬉しいはずなのに、何故かしらね………………面白くないわ。」
「は……………?」
「何でも無いわ。もうお茶の準備も終わっているはずだし、行きましょう。」
 最後、つまらなさそうな目をした……………レミリアは、私を一瞥すると歩き出した。
 …………面白くないって、どういう事…………?

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霧雨初那 - *はなた*さん» ありがとうございます!これからも読んで頂けるよう、頑張ります♪ (2015年1月20日 21時) (レス) id: 40dcb8a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
*はなた*(プロフ) - 面白いです!頑張って! (2015年1月20日 21時) (レス) id: ce479bf433 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨初那 - swksさん» 宿題ふぁいとぉ〜wwww私は終わりましたよ?wwww (2015年1月15日 22時) (レス) id: 40dcb8a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
swks - 宿題が終わらない。テストどころじゃない! (2015年1月12日 15時) (レス) id: abf12aecc0 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨初那 - 今日から4日程、テスト期間(私学生なので…)に入るので、その間更新出来ません…… (2015年1月12日 12時) (レス) id: 40dcb8a3b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文月鎖夜 | 作成日時:2014年12月14日 2時

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