第十三夜 哀れ ページ14
「ふぅん、それは付喪神ね。」
「付喪神……ですか。」
小傘ちゃんが走り去った後、結局どうする事もできなくて作業に没頭した私は夜が明ける頃に倉庫の中を全て片付け終えた。雑ではあるけれど外に出した物を一度中に仕舞い、一段落つけて戻ると私がかけたパーカーを肩に掛けた状態でボーと縁側の外を見つめる霊夢さんが居た為、先程の小傘ちゃんの事を話してみた。その返答が最初の言葉である。
「聞いただけだと害はなさそうだし、放置ね。」
「はは、まぁそうですね。可愛いらしかったですよ。」
小傘ちゃんの喜びぶりを思い出して思わず頬が緩む。…………あの子、大丈夫かな…………
「………貴女が気に病む必要はないわよ。」
「…………へ?」
「そういう付喪神はざらに居るの、いちいち心配する必要はないってこと。そんな事でいちいち思い悩んでいるんじゃ、この世界は厳しいわよ。」
…………あ、そういう事。
「………違いますよ、霊夢さん。」
「……?」
「私は貴女の言葉のような人間ではありません。表面上ではこう言っても、心の中じゃあ『だからどうしたの?』ぐらいにしか考えてないんです。きっとそうなんです。」
………そう、私はそれぐらいの冷たい人間。だから、あの人達にも_________
「……誰かにそう言われたのね。_________はぁ、哀れ。」
「………え、哀……れ?」
「ええ哀れよ。他人の言葉を普通に信じてしまう程馬鹿で哀れよ。………先に一つ言っておくわ。」
「……………は、い。」
「周りを全て疑いなさい。……その後で信じられるものだけを信じて生きなさい。貴女の今の生き方は道徳的で人情的で、そして哀れよ。」
「……………………」
__________初めて言われた言葉だった。『間抜け』『屑』『無価値』……色んな罵倒を受けたけど、哀れ、と言われたのは初めての事だった。
「…………私は、」
口からこぼれる。
「私は、価値のあるものなのでしょうか…………」
「………さぁ、どうでしょうね。」
「っ……………」
聞こえた言葉に、唇を噛みながら深く俯いた。
「けれど、その人の価値を決めるのはその人自身だと私は思うわ。」
「………え………?」
「……価値なんていうのは、所詮その人自身が自分を思う値なのよ。他人に左右されない、自分だけの数値。それをどうつけるかは、貴女自身で決めなさい。」
__________ずっと考えていた自分の『価値』。
__________それは、意外と難しいものじゃないのかもしれない。
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霧雨初那 - *はなた*さん» ありがとうございます!これからも読んで頂けるよう、頑張ります♪ (2015年1月20日 21時) (レス) id: 40dcb8a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
*はなた*(プロフ) - 面白いです!頑張って! (2015年1月20日 21時) (レス) id: ce479bf433 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨初那 - swksさん» 宿題ふぁいとぉ〜wwww私は終わりましたよ?wwww (2015年1月15日 22時) (レス) id: 40dcb8a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
swks - 宿題が終わらない。テストどころじゃない! (2015年1月12日 15時) (レス) id: abf12aecc0 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨初那 - 今日から4日程、テスト期間(私学生なので…)に入るので、その間更新出来ません…… (2015年1月12日 12時) (レス) id: 40dcb8a3b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文月鎖夜 | 作成日時:2014年12月14日 2時