″もしも″の三 ページ3
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少し歩くと狐が居た。
え?先導してくれたのは狐じゃ無いのかって?
もちろん狐だよ。
でも、ほかの狐。
この広い裏山に狐が1匹な訳は無いでしょう。
群れでいるんだよ。群れで。
しっかり数えた訳じゃないけど…ざっと三百匹は居るんじゃないかな?
おっと、話がそれてしまった。
で、その狐。
どこか怯えているようで。
本当にどうしたんだろう。何か居るのかな?
鬼とか。まさかね。
「大丈夫だよ」
頭を撫でると幾ばくかは落ち着いてくれたみたい。
良かった。
「狐、できる所まで案内して。無理はしないでね?」
頷くように瞬きするとまたゆっくりと歩き出した。
私が動物と会話が出来ると知ったら村の人達は本気で私を村八分にするだろうなぁ。
最悪殺されてしまうかも。
まあでもそしたら。
村から逃げ出して、洞窟でも探してそこに住もう。
動物達とずーっと一緒に。
何だか、私のような化け物にはそれが一番幸せな選択肢かも。
ちょっとだけ苦笑い。
「………この先?」
足の止まった狐に、私も思わず小声で聞く。
震えている。可哀想に。
無理させちゃったかな。
狐が頷くのを確認して静かに一歩を踏み出した。
ふと周りを見ると、あっちにはイノシシの群れが怖々と様子を伺ってるし、フクロウも息を殺してそちらを見ている。
……本当に大丈夫何だろうか。
今になって不安。
でも。
狐は私を頼って来てくれた。
いつもお世話になってるから、こういう時に恩返しをしなきゃ。
深呼吸、深呼吸。
覚悟を決めて、そろりそろりと歩を進めた。
だって覚悟を決めても怖いんだもん。
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レイレイン - 素敵な話ですね。とても感動しました。ありがとうございます。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年4月1日 16時