私の小さな世界事情 ページ45
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桜を見ていると、何故だか父を思い出す。
それは、葉桜でも、冬の木だけでも。
まるで、彼は桜の権化だったのかと疑う程。
十年も前の事。
記憶はほとんど無い筈なのに、何故か。
思い出して、しまうのだ。
それは私が父の色を受け継いだからであろうか。
それとも、なにか、他の理由があるのだろうか。
残念、わからない。
母に聞けばわかるかもしれないが。
でも。
さぁと風が吹く。
少し寒くなって来た。
まだ初春である。
目をつぶれば、より鮮明に。
思い出す。
駆け抜けた二年と言う月日を。
その一日一日が
大事な、懐かしい、思い出だ。
「お姉ちゃん、さくら見てるの?」
「うん。咲いてないけどねー」
お父さんが死んでから、この子は生まれてきた。
忘れ形見、という奴だろうか。
とにかく、死ぬその日まで父の父は元気だったという事だ。
あれ、この子、沖田の兄さんのとこん子と、土方の兄さんのとこん子と同い年だっけ?
神流ちゃんお母さん似で可愛いよね。
性格はお父さん似だけど。
あれ、土方の兄さんの所は貰われっ子だったっけ。
「全く、お母さんも酔狂だよねぇ……」
いくら似てたとはいえ、旦那の名前を娘に付けるとは。
ただでさえ男勝りな正確なんだ。
名前まで晋助って、救いようが無いじゃないか。
「はぁ、我が母ながら……」
それぐらい、お母さんの世界はお父さんがいっぱいだったんだろう。
私も、いつかそんな人を見つけられるかな?
……ま、そんな将来の事は置いておいて。
とりあえず、目先の家族よ。
今のところ、私の世界の全てだから。
また、秋になったら。
四人で咲かない桜でお花見しよう。
そうすれば、全員揃える気がするのだ。
なんだかんだ、とりあえず元気にやっています。
私の、小さな小さな、世界の事情。
〈事情〉
物事がそのようになった理由。
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紫姫(プロフ) - 最後すごく感動しました!!泣いちゃいました (2021年4月4日 13時) (レス) id: c6ba8ff617 (このIDを非表示/違反報告)
あると(プロフ) - 作者名に気付いて驚きました。いくつか読んだことのある作品の作者さんの過去作だとは思わず、何も知らず新鮮な気持ちで一気に読み終えました。まさに今この時期だからこそ、高杉晋助という男が染みました。良い作品でした。素敵な時間をありがとうございました。 (2021年3月18日 15時) (レス) id: ac43156437 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - この作品のモノローグがすごく好きで、キャラクターも好きで最後は、物凄く泣きました。この作品も、作者さんも愛することが出来ました。感情が消えかかっていた私を泣かせてくれて、この物語に出会わせてくれて、本当にありがとうございました。 (2020年3月15日 21時) (レス) id: 45e0f85ae1 (このIDを非表示/違反報告)
chokone_0519(プロフ) - ここまで一気に見させてもらいました。最後の最後でボロ泣きして、ほんとにいいお話だったと思います。これこらも頑張ってください! (2019年12月19日 21時) (レス) id: c032273e58 (このIDを非表示/違反報告)
両足に傷(プロフ) - 完結おめでとうございます!自分の中ではかなりないた部類なのでこれからもまた繰り返して読むと思いますが...w素晴らしいお話でした! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 910dd88300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年6月16日 18時