奥さんと陰謀の事情 ページ26
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「茜がお前に無能だと切り捨てられたと言うんだ」
「……は?私が茜を?」
「ああ」
ふと、考え込む。
確かに蔑んだ事は無い。
しかし、引っかかる。
「ないわ。儚よ?この子はどんな事があっても無能だなんて言わないわよ」
「俺も、話を聞いてそう思った。だから、わからねぇ。茜が嘘を言っているとは思えねぇんだ」
「…………言った事ならある」
え、と四つの目がこちらに向けられる。
「茜を無能だと言ったことはある。だが、それは……」
ありえない……
何処だ?いったい誰が……
なんの為に?
まさか
「仕組まれていた?」
ゾッと背筋が寒くなる。
もしかしたら顔は真っ青かもしれない。
「儚、説明して」
「奈落に居た時、茜も奈落に入れたらどうだという話が出たんだ。その時に」
決して人を殺して欲しくないという願いを込めて。
また半分は本当に無能だと思って。
「ああ、そういう事だったの」
「なんだ?どう言う事だったんだ」
「私は殺人者として無能と言ったんだ」
ハッと土方が息を呑む。
「人間として有能で、殺人者として無能。私とは真逆だと、そう言った」
しかし、今内容はどうでもいい。
問題は、どうして茜がこの事を知ったのかだ。
誰かが噂を流したと言うのは考えにくいし、それだけならきっと茜は信じなかっただろう。
今でこそ憎しみ会う双子だが、昔は信じあっていたんだ。
ならば考えられるのは私が言った場に茜が居た、という可能性だけ。
誰だ?
ワイルドキャット特殊訓練を受けていないんだ。
単独で江戸城に忍び込むのは不可能だろう。
誰かの手引きがあった。
私たちを殺し合わせるための誰かの手が。
もしかして、私達は
とんでもない舞台の上で踊っているのでは?
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紫姫(プロフ) - 最後すごく感動しました!!泣いちゃいました (2021年4月4日 13時) (レス) id: c6ba8ff617 (このIDを非表示/違反報告)
あると(プロフ) - 作者名に気付いて驚きました。いくつか読んだことのある作品の作者さんの過去作だとは思わず、何も知らず新鮮な気持ちで一気に読み終えました。まさに今この時期だからこそ、高杉晋助という男が染みました。良い作品でした。素敵な時間をありがとうございました。 (2021年3月18日 15時) (レス) id: ac43156437 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - この作品のモノローグがすごく好きで、キャラクターも好きで最後は、物凄く泣きました。この作品も、作者さんも愛することが出来ました。感情が消えかかっていた私を泣かせてくれて、この物語に出会わせてくれて、本当にありがとうございました。 (2020年3月15日 21時) (レス) id: 45e0f85ae1 (このIDを非表示/違反報告)
chokone_0519(プロフ) - ここまで一気に見させてもらいました。最後の最後でボロ泣きして、ほんとにいいお話だったと思います。これこらも頑張ってください! (2019年12月19日 21時) (レス) id: c032273e58 (このIDを非表示/違反報告)
両足に傷(プロフ) - 完結おめでとうございます!自分の中ではかなりないた部類なのでこれからもまた繰り返して読むと思いますが...w素晴らしいお話でした! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 910dd88300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年6月16日 18時