絶対零度の ページ4
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「晋助さん…」
「は?」
私がボソリと呟いた時、ピタリと三人の動きが止まった。
な、何か不味いこと言ってしまっただろうか?
「なんでお前が高杉の事知ってるんだ?」
え?え?
「なんでって…私は…」
ふと考え込む。
ここでありのままを答えても良いものか?
″答えない″が正しい選択では?
「えっと、混乱してて‥」
「ふーん?」
坂田さんの目がきゅうと細くなる。
あ、ダメだ。誤魔化せてない。
でも、言及はしてこないようだ。
ならばよし。
「そう言えば、おんしの名前聞いてないぜよ!」
「あ、そうですね。申し訳ありません。失念していました。私は高……AAです」
危ねー!
癖で高杉を名乗る所だったわ。セーフセーフ。
まぁ、坂田さんの目がさらに細められているのを見ると全くセーフでは無いのだけど。
はははっ、笑うしかないね。
「おう、よろしくの!所で「鬼兵隊の帰還だ!」」
坂本さんの言葉を遮って響く、凛とした懐かしい声。
鬼兵隊?
晋助さんはあんまり鬼兵隊を名乗らないけど…
本当になんなの?
私は死んで…
「帰ってきたか」
「おー、お疲れ様じゃき!高杉」
パタパタと駆けてゆく坂本さんと桂さん。
この先に晋助さんが居る。
わかっているのに足が進まない。
皆さんのように晋助さんまで変わっていそうで。
ぐっと肩を掴まれた。
いきなりの事だったのでビクッとしたのは仕方ないと思う。
「行こうぜ?お前のお目当ての高杉んとこに」
冷たく光る赤い目。
坂田銀時はこんな顔もするのか。
もっと温和な、暖かい人だと思っていたのに。
「……はい」
ほんとうは会いたくて、本当はあいたくないけど。
でも、一縷の望みをかけて進もう。
(晋助さん…)
私はどうしてしまったのでしょうか。
恐怖と困惑で震える手をぎゅっと抱きしめた。
坂田さんの凍える様な視線は痛かったけれども。
今日一番貴方を癒してくれる高杉
キセル高杉
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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます!沖田レイアさんの作品は全部見ました。とても好きです! (2023年2月13日 17時) (レス) @page29 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - tさん» ありがとうございます!本当にいつも励みになっております! (2019年6月16日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
t - 言葉にならないほどサイコーでした! (2019年6月16日 20時) (レス) id: 98ce886fc4 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - こんな勝手な駄作者に暖かいコメントを書いて下さって本当にありがとうございます!もう、本当に神様です (2019年6月3日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - こんなにいい作品をありがとうございました! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 99b24daa8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年2月24日 20時