だれもが私を恨めばいい ページ19
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髪を高く1つ結びにした。
だってこの髪型が一番楽なんだもの。
色の褪せた灰色の袴を履いて、防具は一番軽いヤツ。
心許ないけど、仕方ない。
重くて動けなくなっても困るし。
…っと、忘れちゃいけないのがこの大量の白粉の実。
確かに懐に入っている事を確認して襖を開けた。
夜明けだ。
ほんのちょっぴり顔を出した太陽が眩しい。
思わず目を細めた。
「…A…か?」
振り返ると同じように目を細めている晋助さん。
「おはようございます。」
「おう、はよ。」
ゆっくりと歩いて隣に立つと静かに空を見上げる。
つられて私も上を向いた。
青くて、壮大で。
果てしなく続く空を見ていると、少し落ち着いた気がする。
「お前、なんで銀時のとこに志願した」
「……」
「激戦区だと知っていただろう?」
「‥だからですよ。」
今度は晋助さんが黙った。
「大丈夫、私が必ず坂田さんを死なせはしない」
私は淡く微笑んだ。
もう、だって私は笑うしか無いでしょう?
「…頼りにしてる。でも、お前も死ぬなよ。」
俺と最後まで生きようぜ。
「………」
「…A?」
目をつぶる。静かに息を吐いた。
「…私はあなたが
だから私は」
あなたにとっての最悪を望みますよ。
そう言って踵を返した。
晋助さんの顔を見れなかった。
傷ついた顔をしていても、平気そうな顔をしていても、どっちも傷つくから。
広間に行くと坂田さん。
おにぎりを差し出してくれた。
具なしの塩無し、味も素っ気もないおにぎりだったけど。その優しさがとても美味しかった。
少し泣いてしまったけれど多分誰にもバレてないよね。
坂田さん率いる部隊は少し早めに西の戦線へと向かった。
チャンスは、今しかない。
この人が白夜叉になる前に決行しなければ。
刀を鞘ごと腰から抜いて。
ドンと激しくその頭を殴った。
坂田さんは声にならない呻き声を上げると2、3歩よろめいて倒れた。
ざわめく他の人数は、私に刀を向けて来るものも居るが残念ながら小娘は切れないようだ。
鼻で笑って私は髪を切った。
今までした事が無いくらい短髪に。
そして白粉の実をすり潰して。
短くなった髪に塗った。
今日一番貴方を癒してくれる高杉
キセル高杉
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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます!沖田レイアさんの作品は全部見ました。とても好きです! (2023年2月13日 17時) (レス) @page29 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - tさん» ありがとうございます!本当にいつも励みになっております! (2019年6月16日 21時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
t - 言葉にならないほどサイコーでした! (2019年6月16日 20時) (レス) id: 98ce886fc4 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - こんな勝手な駄作者に暖かいコメントを書いて下さって本当にありがとうございます!もう、本当に神様です (2019年6月3日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - こんなにいい作品をありがとうございました! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 99b24daa8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年2月24日 20時