八匹 ページ8
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「晋助様は公私混同するような人じゃないわ。だから、おうのさんは『この船の中で一番寵愛を受けている女』なのよ。それを、『鬼兵隊で一番目上の女』ですって……?」
「あ、あの……A様……?」
普段ろくすっぽ仕事もしないくせに、『鬼兵隊』?
笑わせなるな。
おうのさんに鬼兵隊としての居場所なんて無い。
全く、まーったく無い!
「私はね、お飾り妻だけど鬼兵隊の一員として誇りを持って仕事してるわ!」
私は弱いから、剣を振るえない。
もちろん護身術くらいなら身につけてはいるけど、そんなもの。
余程強くなければ戦場では、無意味。
だから、その分与えられた仕事は完璧にこなす。
それが私の唯一無二の誓い。
「確かに愛人は愛されるのが仕事。その点ではおうのさんもよく働いてると言えるかもしれない」
でもそれは鬼兵隊内の話じゃない。
高杉晋助個人の話。
「……なんかごめんね?また子ちゃん。すごく演説しちゃった」
「え!?いや、全然大丈夫っス!むしろ、その、誇りとか……肯定してくれて、心強かったっス!」
また子ちゃんは花が咲くようにふわりと微笑んだ。
可愛い。優しい。つまり天使。
「じゃあ、早めにご飯食べ終わって、嫌がらせでもしに行こうか」
にっこりと笑うと、また子ちゃんは嫌がらせ?と小首をかしげる。
「それはすぐにわかるよ」
「A様、すっごく下衆い顔になってるっス……
とりあえず、A様と同じ意見で良かった……」
「それは本日二回目だし、私だって鬼兵隊の事に関わらなければ百舌鳥にはならないわ」
「ほんとっスかぁ?」
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時