三十三匹 ページ33
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いつもの様に朝風呂から帰ってくると、まだ寝ているおうのさんを揺り起こす。
「朝ですよー。この時間に食堂行かないと朝食を取りに来た晋助様に会えないですよー」
「……お、起きる……」
目を擦りながら気だるそうに起き上がったおうのさんはまだ完全に覚醒してはいないらしく、ぼんやりとしている。
「おはようございます」
「……ん、おはよ……」
まあ、昨日あんなに飲んでたんじゃ二日酔いも凄いだろう。朝弱い私としては早起きの辛さを知っているので寝かせてあげたいが……
きっとおうのさんにとっては晋助様に会えない方が苦痛なはず。
「ほらほら、着替えましょう。晋助様が待ってますよ」
「……着替える……」
☆
さっきのがまるで別人だと言わんばかりにキリッと微笑むおうのさんに苦笑しつつ食堂に向かう。
男も女も惚れた人の前ではカッコつけたいらしい。
きっと恋とはそういうものなんだろう。
想像がつかないけど。
「……ッ!」
「あら、おはようございます。おうの様」
これはこれは、何とも趣味が悪い。
私は思わずため息をついた。いや、私以外の誰でもため息をつくだろう。
なぜならおのぶさんが晋助様にもたれ掛かるように寄り添いながら、いわゆるアーン、ってやをやっているのだから。それもおうのさんの目の前で。
「よお、A。うの」
晋助様がニヤリとわらった。
よく喋りかけられるよな。この状況で。流石鬼兵隊総督。
「おはようございます、晋助様。珍しいですね。今日はお部屋でお召し上がらないのです?」
「たまにはいいだろ?」
「そうですね。た、ま、に、はいいかも知れませんね」
無言でお互いじっと見つめ合う。
対人関係調節は私の仕事に含まれているのだから、異常に引っ掻き回すのは辞めてもいたい。
意地悪をして楽しむ、くらいなら問題は無いが今回はさすがにやり過ぎている。
「……わかったわかった。お前の勝ちだ」
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時