二十六匹 ページ26
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「あら、Aちゃん。おはよう」
「おうのさん。おはようございます。珍しいですね、この時間にお風呂入るの」
「ああ、うん。目が冴えちゃって」
まだ早朝。
ニワトリが鳴いたかなくらいの時間なのに。
まあ、また子ちゃんなんかはもう任務で外出てるけど。流石だよね。赤い弾丸。
おうのさんは豪快に服を脱ぐとスタスタと湯船の方へ。私もその後を追う。
「疲れたわぁ」
「お疲れ様です」
広い浴室に、二人分のシャワーの音。
しばらく黙ってシャンプーしていると、おうのさんは頭を泡で白く染め、目を瞑ったまま口を開いた。
「そう言えば、Aちゃんはどうして鬼兵隊に来たの?しん様が好きだった訳じゃないんでしょう?」
「ああ、えっと鬼兵隊の幕府に復讐という点とあの人の女よけという利害の一致ですね」
「利害の一致って……それだけでここまで付いてきたの?」
「そうですね、そうなります。結婚なんてそんなものですよ。言わば契約ですし。一生を共に過ごすなら下手に好きな人より一緒にいて気が楽な人を選ぶべきだって姐さんが言ってました」
私より六つ上だった千里姐。
身請けされてから会ってないけど、元気にしているだろうか?
「それって、しん様と一緒に居るのが楽ってこと?」
私はシャワーで頭を流す。
ぎゅっと瞑っていた目を開けて
「あの人は合理主義ですからね」
と言った。
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時