十五匹 ページ15
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やがて晋助様はくわりと欠伸をこぼして言った。
「寝みぃ。お前らもう各々の部屋に戻れ」
「わかりました。おやすみなさい」
「承知したでござる。それではまた明日」
「えー、うのはもっと一緒に居たいですわ」
晋助様とおうのさんの痴話喧嘩を後目に万斉くんと部屋を出る。
深夜という事もあり、廊下には誰もいない。
「それにしてもA殿はどうして晋助の部屋に居たんでござるか?」
「あー……なんか、稽古中また子ちゃんの命令を聞かない部下がいたから、粛清許可を貰いに」
「なんと、それは真でござるか」
「私も驚きました。幹部級に盾突く人が居るとは」
万斉くんはそれっきりつま先を見つめて黙ってしまった。
まあ、確かに事務の私でさえ衝撃だったんだから、実戦部隊の万斉くんの方がもっと衝撃だよね。
「……A殿は、このままただ粛清するつもりでござるか?」
「どっちでもいいですよ?ただ粛清するだけでも、うるさい奴らを黙らせる事くらいは出来ますし」
経験から言わせてもらうと、だいたいキャンキャン甲高く吼えるのはチワワと相場が決まっている。
所詮、小型犬だ。
銃声一発でカタがつく。
「ちなみに、ただ粛清するだけじゃない案は?」
「そうですねぇ。一石三鳥、上手く行けば一石四鳥いけるかも知れません」
「じゃ、そっちを頼むでござるよ」
私はにっこりと笑う。
「百舌鳥の出番ですね。了解しました。それではおやすみなさい」
「ああ、おやすみでござる。A殿」
ゆっくり遠くなっていく万斉くんの背中を見つめながら、さて、私も寝ようか、と呟いた。
蛍光灯の光がやけに青かった。
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時