宵四十 ページ40
翌日。
「さぁAちゃん、いっぱいご飯食べて、ゆっくり体を休めるのよ?」
「Aさん、ほら早く口開けて!」
「Aさん、あーんして」
何故、こうなったのだろうか。
確かに体の節々は痛いけれども、普通の生活はできる。三姉妹の介護を受けなくても私は大丈夫。
と、Aが立ち上がろうとすれば、
「Aさん?」
三姉妹息ぴったりで、Aの手を抑え、退路を断つ。その早業にひぇっと息を呑むA。
「Aちゃん?何か用があるのなら、私が済ませておくわよ?」
「姉さんだって怪我治ってないでしょ、私が聞くわ」
「私もAさんの頼み聞きたい」
いやあの、用でも頼みでもなくて、体を動かしたいだけなんです。かと言って、この期待の眼差しから逃れられる術などあるはずもなく、
「「「私を選んで?」」」
蝶屋敷のお庭には、百合の花が咲いたとさ。
.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.
「私ね、柱をやめたの」
カナエがそんな事を言い出したのは、機能回復訓練の最中だった。
「あ、でも、鬼殺隊はやめてないわよ?ただ、片方の肺が使い物にならなくなったから、怪我した人の治療を任されてるの」
突然の報告に、湯呑みを持つ手が止まる。
「はいっ、隙あり!」
ポンッと、頭に湯呑みを置かれる。それでもAは反応しなかった。
「もう、そんなに落ち込まないの。こうして皆と話が出来るのは、Aちゃんが守ってくれたからよ?本当に、ありがとうね」
「……」
カナエの言葉に何を思ったのか、Aはえんぴつと紙を取り出し、書き綴った。
それを渡すと、カナエは微笑んだ。
「……ふふ、見守っているわ」
ごめんは、書かなかった。
『カナエの分まで頑張る』
ただ簡素に、前向きに、そう書いた。
*補足*
カナエはこの時点で、Aの声帯に異常がない、本当は声を出せるということを知っています。
バリバリ叫んでたからね。
カナエが色々考えた末、敢えて言わないようにしているという設定です。
ご了承ください。
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息抜き(プロフ) - カカさん» コメントやお星様までありがとうございます、頑張りますね(*_ _) (2020年1月14日 1時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
カカ(プロフ) - 主人公の周りのキャラの優しさが滲み出ててすごいよきです、、、。見る度にお星様を押してしまいます。更新の方無理をなさらずに頑張ってください! (2020年1月14日 0時) (レス) id: c193d50bb9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ばぐさん» コメントありがとうございます。私もコメントが来る度に飛んで喜んでます。頑張りますね<(_ _)> (2020年1月8日 18時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - とても面白くて通知が来る度 飛んで喜んでいます!これからも頑張ってください! (2020年1月8日 18時) (レス) id: c64457db9e (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 無気力人間Aさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります<(_ _)> (2020年1月7日 19時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:息抜き | 作成日時:2019年12月2日 1時