宵二十七 ページ27
ラムネが一層美味しくなる季節。
「おいアンタ」
それは、柱合会議が終わったあとのことだった。
「禓黒Aってのは、アンタのことかィ?」
え、呼ばれてるやん。若干驚きながらも振り返ると、
「聞いてんだァ」
さっきの柱合会議で風柱となった不死川実弥がいた。
あ、この人、お館様に喧嘩売ってた人だ。
「……」
「何で声出さな……アンタもしかして、喋れねェのかィ?」
察したのか、気まずそうに頭を搔く不死川さん。私に用があるみたいだけど、彼は私の事なんか覚えてないだろうしなぁ。
不死川さんと会ったのはもう三ヶ月も前だし。
実はA、不死川が起きたと聞いてから蝶屋敷には行っていなかった。
「この前は、ありが」
「禓黒!」
ん?また呼ばれた?今の声は冨岡さんか。
「話したいことがある、一緒に来てくれないか」
ふむ、話したいことか。どうやら真剣なことらしいので、これは行かざるおえないな。
だがその前に不死川さんの用事を、
「禓黒、ありが」
「あら〜!二人してAちゃんの取り合い?」
ん、カナエか。お館様に呼ばれてたから遅くなったらしい。
「私もAちゃんとお話したいから、混ぜて〜!」
ふむ、どうしたものか。三人に呼ばれてしまっている。
ここはやはり初めに話しかけてきた不死川さんに、
「んんッ、ありが」
「禓黒!」
「あァン!?」
尽く話を遮られる不死川。顔に血管が浮き立っており、二度も遮った冨岡を睨みつけている。
「急用なんだ、今すぐ来て欲しい」
そんな不死川のことを知ってか知らずか、真剣に頼み込む冨岡。Aは申し訳なさそうに不死川にヘコヘコと頭を下げ、冨岡について行った。
取り残された二人はと言えば、
「チッ、めんどくせェなァ。胡蝶さんよォ、禓黒の家知らねェか?」
「お家、お家ね〜……知らないわ……」
意外と知っていなかったことに驚いたのか、ショックとでも言うかのように落ち込むカナエ。
「……気が済まねェなァ」
「ふふ、Aちゃんに興味があるのかしら〜?」
「そんなんじゃ……いや、あるかもなァ」
柱合会議のとき唯一、お館様と目を合わせていなかったからなァ。
不死川の目に映ったAは、怯えているようにしか見えなかった。
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息抜き(プロフ) - カカさん» コメントやお星様までありがとうございます、頑張りますね(*_ _) (2020年1月14日 1時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
カカ(プロフ) - 主人公の周りのキャラの優しさが滲み出ててすごいよきです、、、。見る度にお星様を押してしまいます。更新の方無理をなさらずに頑張ってください! (2020年1月14日 0時) (レス) id: c193d50bb9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ばぐさん» コメントありがとうございます。私もコメントが来る度に飛んで喜んでます。頑張りますね<(_ _)> (2020年1月8日 18時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - とても面白くて通知が来る度 飛んで喜んでいます!これからも頑張ってください! (2020年1月8日 18時) (レス) id: c64457db9e (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 無気力人間Aさん» コメントありがとうございます。更新頑張ります<(_ _)> (2020年1月7日 19時) (レス) id: 1ca44e1fd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:息抜き | 作成日時:2019年12月2日 1時