【鬼滅の刃】幸せ者の胃は崩壊寸前

宵十二 ページ12

はぁ、と一息つく。


柱合会議の事を知らされ約半日。


内心毒を吐きながらも夜中ずっと走り続けて、ようやく会議の場所へと来た。

時刻は……よし、まだ陽が一番上まで昇りきっていない。

明に聞いたところ、今回の柱合会議は昼かららしい。



「おいお前」


ん？呼ばれた？


後ろを振り返ってみると、そこには見知らぬ青年が立っていた。

長い黒髪を後ろで一纏めにしており、髪は外に跳ねている。

瞳は海の如く、水を印象させる。


「柱合会議か？」



……は？


彼の言葉を繋げてみると『おいお前、柱合会議か？』になるんだけど。

まるで私が柱合会議みたいな。


心の中で復唱してみるが、何度やっても意味を汲み取れない。


「聞いている」


うん、それは分かる、分かるけど。

なんというか、言葉が足りないというか……。


本人に関しても至って真面目な様子だし、もしかして私がおかしいのか？



「「……」」



無口対口下手の、異様な空間である。

二人とも仏頂面。

類は友を呼ぶとは言うが、必ずしもいい状況に成り得るわけではない。

この二人がいい例である。



「あら〜？Aちゃん？と、そちらの方は……」


花が来た、最高のタイミングで。


「私は胡蝶カナエです。あなたは、新しい柱の子よね？」


へえ、新しい柱の子だったんだ。

これまた不思議な子が来たなぁ。



「こっちの女の子は禓黒Aちゃんよ。Aちゃんは声を出せないけど、とってもいい子なのー！」


自己紹介してくれたのはありがたいけど、なんだかむず痒い……。

よろしく、という意味も込めて礼をすると、


「冨岡義勇。俺は柱ではない」


コミュ力の塊、カナエもこれには固まっていた。


……ツッコミどころ多すぎてどっから突っ込んでいいか分からない。

いや突っ込める口ないけど。

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