【鬼滅の刃】幸せ者の胃は崩壊寸前

宵四つ ページ4

拝啓、田舎のお母様。(いません)

元気にしておられますか。

私は胃の寿命がまた縮みました。いえ、現在進行形で縮んでおります。


なんと右手に見えますは、殺気の塊……では無く胡蝶しのぶさんですが、大変機嫌が悪うございます。


そして先程まで私の首根っこを引っ張っていたカナエは、


「二人共、カナヲを呼んできてもらえるかしら。私はとっておきのものを用意するから！お願いね！」


などと満面の笑みで私を更なる地獄に突き落とし、現在二人で蝶屋敷の廊下を歩いています。

できるだけしのぶさんの視界に入らぬよう、左後ろに着いていってはいるが、これ私が行く必要あったのだろうかと今更ながらに思う。



そんなAが、カナエにしてやられたと気づくのはまだ先のこと。

というか今の状況で深く考えられるほど、彼女の思考に余裕など無い。

右前の殺気に当てられ、完全に縮こまっている。


念の為言うが、禓黒Aは胡蝶しのぶを嫌っているわけではない。

苦手としてはいるが。


どちらかと言えば恐怖より、申し訳なさの方が勝っている。



「そんなに怯えないで貰えませんか？貴方それでも柱ですか？」


やっぱり怖いです。



「私、貴方のこと嫌いです」


知ってます。

もちろん、嫌いなその理由も。


やはり、いくら罵倒しても口を開かないAに、しのぶは立ち止まり、横目でAを睨んだ。

そして、最後に一言告げて、また歩き出した。


「……」


それ以降、二人の間に会話は無かった。




──その喉、本当に無くしてあげましょうか




Aの頭の中には、しのぶの言葉が残っていた。

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