【鬼滅の刃】幸せ者の胃は崩壊寸前

宵十八 ページ18

＿＿とある非番の日のこと



「カァァァァ！！応援！応援要請！！」


どうやら下弦の壱が町に出現、隊員がたった二人で戦っているらしい。

そして現在空いてる柱は私のみとのこと。


「急ゲ！戦ッテル！！」


すぐさま屋敷を飛び出し、森林を駆け抜ける。


次第に町が見えてくるが、被害はなかった。

鬼の気配は嫌というほど感じるのに、町は平和過ぎて不気味なぐらいだ。



「＿＿っ！」


眼前に広がる光景に、屋敷を出てから一度も止まることのなかった足が、ピタリと止まった。


「ああああ！！」

もうそこに、鬼の気配はなかった。


そして隊員二人のうち、一つの気配もなくなっていた。


「起きろよォ！起きてまた鬼をぶった斬るんだろォ！！匡近ァ！！」

必死に屍を揺さぶる白髪の隊員。


……傷だらけだ。早く治療しないと、彼まで死んでしまう。


「んだテメェ！！離せ！！」


戸惑っている隠に隊員の埋葬を任せ、もう一人の傷だらけの隊員を背負う。ボコスカと蹴られ殴られるが、Aは構わず蝶屋敷へ走った。


「俺はァ……何も守れねェのか……」


疲労が溜まっていたのだろう。涙を流しながら眠ってしまった。

そんな彼の寝顔は、まだ幼いものだった。


ごめんなさい。もっと私が早く来てれば、君の大切な人は死ななかっただろうに。

申し訳なさで胸がいっぱいになる。


その日は蝶屋敷に彼を預け、先に帰った。

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