二十五話 ページ26
宿屋には、一人の男が酒を飲む音が静かに聞こえていた
スッ…
『失礼いたします
今宵お相手させていただく、
どうぞ、よしなに…』
そこに襖を開き、三つ指をついて頭を下げるAが現れた
「如月」という名は、Aが使う源氏名である
「ああ、お待ちしていました！
ささ、こちらへどうぞ」
『恐れ入ります』
洋服の身を包んだ男は、Aの肩を掴み座らせた
『……』ピクリ
肩を掴まれたことに、Aは一瞬顔をゆがませたが
『本日は、何を所望されますか？
三味線は持ってきておりますが』
掴まれた手をやんわりと落とし、あくまで笑顔で尋ねた
「……………そうですね
では、評判の三味線を聞かせてください」
『はい、ただいま』
男の言葉に、Aは三味線を取り出す
『曲目は、私が決めてしまってもよろしいのですか？』
「ええ、なんでも構いませんよ！」
『では、弾かせていただきます』
Aは目を伏せて、深く息を吸った
ベン…ベベン…
三味線の鈍く余韻のある音が響いた
「素晴らしい！！」
パチパチ
Aの演奏が終わると、男は大声で言った
『恐悦至極に存じます』
男の言葉に、Aは頭を下げる
「そうだ、提案なのですがね…？」
男はふと呟いた
「如月さん、私はあなたのことを高く買っているのですよ
教養も、芸事も………その美しさも
私なら、あなたにもっといい思いをさせてやれます
私の愛妾になる気はありませんか？」
「愛妾」になれとはすなわち、Aに愛人になれと言っているという事
遊女ならまだしも、芸妓にそんなことを言う男にAは静かに苛立つ
『(私に、めかけになれと………？)』
冷静に笑顔を保ってはいるが、伏せた瞳は怒りに震えていた
『御冗談を
貴方様ほどの方なら、もっと良い身分の方と
武田観柳様』
「おや、手厳しいですねェ」
Aの言葉に男は葉巻に火をつけ、ニヤリと嗤った
男の名前は武田観柳、Aを座敷に呼んだ張本人である
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彩蘭(プロフ) - すごく面白いです!夢主ちゃんのかっこよさと綺麗さがめっちゃ好き!更新頑張ってください! (1月25日 15時) (
レス) @page14 id: 76f42516d3 (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ(プロフ) - 続き待ってます！ (12月31日 0時) (レス) @page37 id: 42fa138aff (このIDを非表示/違反報告)
あやなん(プロフ) - 陽始さん» ありがとうございます！カメ更新ですがお付き合いくださいませ！ (12月17日 22時) (レス) @page37 id: 02dc14a173 (このIDを非表示/違反報告)
陽始(プロフ) - るろ剣は最近はまったばかりですが、水無月ちゃんの大人っぽくてかっこいいところが好きです！頑張って下さい！！ (12月1日 9時) (レス) @page36 id: 27cc70538e (このIDを非表示/違反報告)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (11月12日 20時) (レス) id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやなん x他2人 | 作成日時：2020年10月14日 22時
