6 ページ18
Aside
私の祖父は元特攻隊員だったそうだ。
妻である祖母とも僅か半年間の新婚生活だったそうな。
祖父の出撃は8月の15日、すなわち終戦の日、その日である。
13:00に発つ、とお達しを受けた祖父は早速準備を始めた。
時間の使い方が上手だった祖父は、準備の際に祖母には遺書を残し、いるかどうかも定かではない未だ見ぬ我が子には木彫りの人形を作ったそうだ。
そんな時に聞こえてきた玉音放送。
祖父はその時のことを今でも忘れないという。
"それでも俺は行く"そう言って8月15日以降にも飛び立つ戦友。それをただ見送ることしかできなかった無念を…
特攻に行く意味がわからなくなることがあった、そう語る時もあった。
"予想の段階で成功率が低いのに飛ぶ意味があるのだろうか"と…
翔 「それってさ、どういう意味？」
隣で必死にメモを取る櫻井さんが首をかしげる。
A 「これは今の"戦争"の教え方の難しいところにも似ているんですがね…」
"名誉ある死"とすると、"自死行為"を美化することになり、"自爆行為"とすると、"国のため"の否定になる、と…
飛ばなかったことに後悔はないか、そう祖父に尋ねた時があった。
それに関しては今も黙秘を続けている。
息子である父にそのことを聞くと、決まってこう言った。
『じぃじは今も悩んでいるんだよ。飛ばなかったことで失わずに済んだ戦友達の命を落とさせてしまった。そう思う気持ちと、飛ばなかったことでお父ちゃんや、A達に命を、家族を繋ぐことができた、と満足する気持ちと』
その言葉を理解するのにはまだまだ時間がかかりそうだな…
そう思った。
A 「すみません。長くなって…。大丈夫ですか？ こんな話しかできませんでしたけど…」
翔 「うん、大丈夫。聞かせてくれてありがとう。 これからもさ、何かあったら聞いてもいいかな？」
櫻井さん、こんな話でも聞いてくれるのかな？
A 「こういった話でよければ、お互い都合のいい日にでもお話しします。 連絡先は…雅紀に聞いてください」
翔 「うん。ありがとう。じゃあ…俺は、メイクにでも行ってくるかな。Aちゃん、ゆっくりしてってね？」
そう言って櫻井さんはキラッと音がするんじゃないかって思うくらい眩しい笑顔を見せて楽屋を後にした。
かっこいいな…って思ったのは私だけのヒミツ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山田 あんび(プロフ) - リクエスト遅くなってすみません！リクエストなのですが他のメンバーと食べに行って嫉妬しちゃうお話お願いします！ (2015年8月28日 15時) (
レス) id: 754b2eb85f (このIDを非表示/違反報告)
さゆみ(プロフ) - ありがとー！更新楽しみにしてる♪ (2015年5月27日 13時) (レス) id: f1e1d7ce6d (このIDを非表示/違反報告)
ポヨリン(プロフ) - さゆみさん» かしこまりました( ´ ▽ ` )ﾉ (2015年5月25日 19時) (レス) id: faa9497605 (このIDを非表示/違反報告)
さゆみ(プロフ) - あ、お久しぶりです、リクエスト出すね！二人お忍びでデートして欲しい！！ (2015年5月25日 19時) (レス) id: f1e1d7ce6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ポヨリン | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/hp/
作成日時：2015年5月25日 10時
