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鞄を開けると相変わらずぐちゃぐちゃ
バックインバッグを勧めたが、この方がわかりやすい、と断られた
押し込まれた服、私があげた財布、家の鍵と、ガイドブック…
その中に一際キラキラとする物が目に入った
これ…
フミが送ってくれた写真のブレスレット
私のために買ってきてくれたわけではないよね
そもそもカレはプレゼントを箱に入れずに鞄に入れるタイプじゃない
私は、急いでブレスレットをワンピースのポケットにねじ込んだ
フミが送ってくれた写真と同じブレスレット
まさか…ね
シャワーの音が止まった
と同時に私の心臓も一瞬止まった
でも、すぐに我に返り、急いで鞄のファスナーを閉めた
カレ「おおっ！」
バスタオルを腰に巻き、フェイスタオルで髪を拭きながらカレが出てきた
カレ「まだいたの？やっぱり俺がいないと寂しかった？」
「……」
人って自分の感情が分からなくなると言葉が出なくなるんだ
鞄のファスナーを閉めたまま、顔も上げられない
カレ「どうしたんだよ。黙ってちゃ分かんねえよ？」
浮気なんてしてないよね
私、信じてもいいんだよね…
「ごめん…なんでもない。あ、そうだ。この間のデートの分、ご飯でも食べに行かない？」
そう言って精一杯の笑顔で答える
私、笑えてるよね？
カレ「そうだね。でも…」
カレが近づいてくる
カレ「なんか久しぶりのAのワンピース姿、興奮しちゃった」
そう言ってカレの指が私の身体をなぞった
ゾワっと全身が震え上がるのが自分でも分かる
「ちょ、ちょっと待って！」
カレ「何？俺は会えなくて寂しかったよ？」
カレの指が、私の、何かの紐に触れたのがわかった
私がここで変なこと言って気まずくなるの嫌だな
ブレスレットのことには触れない方がいいのかな…
そうよ、来年にはお父さんとお母さんに紹介しなきゃいけないんだから
波風は立てないようにここは穏便に穏便に
ーAは見る目がないから…
ー心配よ？
またフミの言葉が頭をよぎる
モノはある
何もなかったらそれでいい
Aへのプレゼントだよ、って笑ってくれたら問題ないじゃない
「ひとつだけ聞きたいことがあるんだけど、いい？」
私は、狂いかけたその歯車を自分の手で狂わせた
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作者名：ぽよりん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/hp/
作成日時：2023年12月15日 0時
