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彼は私の両手を掴んだ
そしてそのまま真っ直ぐ私の目を見つめる
大きな目…
吸い込まれてしまいそうだわ
翔 「社長として責任感をもつAさんは尊敬してる。でも、前にも言ったけどさ、もう少し俺を頼ってほしい」
「…頼ってるよ？今日だって、ピンチだった時『どうしてるかな、助けてくれるかな』って思ったし！」
翔 「その櫻井ってのこれから禁止。翔って呼んで？」
…！？
「翔さん…」
翔 「翔」
「翔…くん…」
翔 「今日はそれで許す。仕事だけじゃなくてプライベートでも頼ってほしいわけ。俺は」
「え…？」
翔 「俺があの日、印刷屋の承諾取れた理由知ってる？」
「プレゼン成功のため、じゃないの？」
翔 「そりゃプレゼン成功のためだけど、それだけじゃないんだ」
「…どういうこと？」
翔 「Aのいい顔が見たかったんだよ」
「そ、そうだったの！？」
翔 「そういう俺の気持ち、気付いてないでしょ」
「う、うん…」
全く気付いてなかった…
翔 「昼食ひとつにしてもそう。付き合ってんのに誘ったら警戒するし」
「だ、だってそれは…」
あなたに迷惑が…
翔 「『社内恋愛がバレたら迷惑がかかる』とか思ってんじゃねえの？」
うっ…全て彼にはお見通しってこと？
翔 「もしかして図星？」
「だって、それとは話が…」
翔 「そういうところの肩の力抜いて欲しいんだよね。何でもそうやって1人で背負い込まずにさ、これからは2人で」
「櫻井…」
翔 「ほらまた苗字で呼ぶ」
「…翔くん」
翔 「よろしい」
私、今まで気を張りすぎてたのかもしれない
仕事でも、プライベートでも、何でも私がやらなきゃ、って
反省して俯く私の頬に彼の手が添えられる
翔 「少しは頼る気になった？」
そう言って微笑むと、ゆっくりと顔が近づいてくる
私は頷く代わりに、私は目を閉じた
そして、やさしくて柔らかい唇に触れた
そっと触れ合うだけなのに顔が紅くなる
翔 「今日、帰したくねえな」
「でも…」
翔 「明日公休にしちゃえば？」
「っ…！」
翔 「労働義務のない休み」
「LINE送る手助け、してください…」
翔 「社長命令でしたら？仰せのままに」
私は幸せを噛み締めながら、段々と深まる口づけに酔いしれた
そして、無意識に送信ボタンを押していた
A社長私用のため、明日は公休と致します
〜完〜
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作者名：ぽよりん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/hp/
作成日時：2023年12月15日 0時
