明日は公休と致します【S.S】 (ページ36)

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翌日、二宮、松本と共に会社を出て、電車で会場へと移動した

いよいよだ

心臓が口から出そうなほどの緊張を胸に、念のため最新原稿を確認しながら会場のドアを叩いた

「ん？あら？」

潤「社長、どうしたんすか？」

「この原稿、なんかおかしくない？」

潤「いや、パッと見普通っすけど…」

和也「これ…！」

左に立つ二宮の目が丸くなる

「何？やっぱり変？」

和也「最新版じゃないですよ」

「えっ！？私間違えて持って来ちゃったってこと？」

潤「どうします？」

和也「どうします、ってもうこれでいくしかなくない？」

「でも…」

廊下から会場を覗くと、他の会社が既にプレゼンを始めていた

絶体絶命のピンチ

このチャンスだけは逃したくない

冷や汗が止まらない

ここまで何のためにみんなで頑張ってきたのに

絶対に勝ち取りたい

潤「こうなったらニノのパソコンからデータ引っ張り出すしか…」

和也「俺のパソコンにはデータ無いよ？翔さんのに入ってる」

潤「は？それマジで言ってる？」

和也「そりゃそうでしょ。逆になんで入ってると思ったのよ」

潤「いや、お前、今日本番って分かってたよな？」

私を挟んで言葉に棘が増えていく2人

申し訳ない…私のミスなのに…

「2人とも喧嘩しないで。私が悪いの…。私がこんなことしなかったら…」

こんな時、彼がいたら…

頼り方が情けないけど、悩んでる暇はない

私はその場で彼に電話をかけた

翔「はい」

「今どこ？今どこにいるの？」

翔「そんなに焦ってどうしたんですか？」

私は興奮気味に事の経緯を話す

翔「あー、それは完全にやっちゃったパターンすね」

「とにかく早く！今すぐ来て！」

翔「いるけど」

「へ？」

「あれ？翔さん、どうしたの？」
二宮の声に振り返ると、スマホを耳に当てた彼が社用封筒を片手に立っていた

翔「これ、今日の原稿です」

「いつの間に…」

翔「3人が出た後、これ、忘れてるのに気付いてすぐタクシーで追っかけたんすよ」

和也「瞬間移動並みの早技だったね、翔ちゃん」

「ありがとう、助かった。これがあれば絶対勝ち取れる」

翔「社長ならやれるって信じてます」

潤「俺も」

和也「私も」

「この勝負、勝ち取りましょ！！」

3人を引き連れ、私は会場へと足を進めた