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しばらく歩いて、私たちは駅前の小さな食堂に入った
翔 「俺これー。社長、どうします？」
「ちょ、ちょっと待ってね。今、決めるから」
翔 「すいませーん」
店員 「はーい、ただいまー」
可愛らしいおばちゃんの店員さんがこちらへ駆けてきた
翔 「俺、アジフライ定食。豚汁変更で」
店員 「アジの、豚汁で。ボクはいつもそれだね。ありがとう。お姉さんは？どうする？」
「え、あ、と…」
翔 「ここの親子丼、美味いっすよ」
そう言ってメニューの真ん中を指差す
「じゃ、これで。私も豚汁ください！」
店員 「親子丼と、豚汁ね。しばらくお待ちください」
「まだ決めてなかったのに…。ってか、ここよく来るの？」
翔 「大丈夫。ここの料理はなんだって美味しいから。ん？ここは、学生の時からの行きつけです」
なるほど…そういうことね
「だから、ボク、って言われてたのね」
翔 「あ、今俺のこと馬鹿にしたでしょ？」
って頬を膨らませる
翔 「ってかー、俺たちが付き合ってること隠さなくてよくないっすか？」
誰が聞いてるかわからないのに、またそういうことを堂々と口にする…
翔 「だって、Aさんは自慢したい彼女だから…」
彼が頬を赤らめる
何それ…顔赤くしちゃってさ…
ズルいよ、こっちまで恥ずかしくなるじゃない
「それは私だって…」
翔 「私だって？」
「絶対にバレたくないわけじゃないわ？でもね、女の世界って男が想像する以上に狭くて怖いのよ？」
翔「何かあれば俺が守ります」
「絶対？」
翔 「絶対。必ず」
「えっ…」
翔 「もっと頼って欲しいんだよね、俺のこと」
「またまたぁ、そんな生意気なこと言って」
照れ隠しに茶化してしまった
翔 「俺、本気っすよ？」
年下だけどこうやって男らしくて、前向きに頑張ってくれるところ、好きだな…
翔 「あ、今俺のことかっこいいって思ったでしょ」
「そんなこと思ってない！」
ことない…
彼の言う通り、隠さなくてもいいのかもしれない
自然体で彼と接するのがいいのかもしれない
翔 「少しは緊張、取れました？」
「へ？」
翔 「会議前でピリピリしてたから」
「それでわざわざお昼ご飯に誘ってくれたの？」
翔 「いや、俺がただ単にAさん独り占めしたかっただけです」
とんだ勘違いをいたしました
翔 「明日の国際会議、頑張りましょうね！」
「うん！」
さりげない気遣い、好きだな
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作者名：ぽよりん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/hp/
作成日時：2023年12月15日 0時
