明日は公休と致します【S.S】 (ページ29)

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・⭐︎ ページ29

「お邪魔します」

どうして？

これは何かのミス？それともご褒美？

連れて来られたのはAさんの家

A 「はーい、どーぞー。汚いけど気にしないでね」
って、呑気な社長

緊張で心臓から口が飛び出そう

白を基調としたインテリアの中にひとつの写真立て

綺麗な部屋だなぁ

「わっ！」

A 「ごめんごめん。急にびっくりさせちゃったね」

社長が写真立ての動画を止めに来た

びっくりした

写真立てに入っていた動画が再生されたのだ

デジタルフォトフレーム？

A 「定期的に親戚が動画送ってくるの。そのためのやつなの。もう動画は流れて来ないと思うから、気にしないで？」

そう言って台所に戻る社長の後ろ姿を、フォトフレームで流れてくる写真を見ながら、盗み見る

仕事をしてる社長もかっこいいけど、こういう姿も…いい

A 「コーヒー、飲めるよね？」

「は、はひっ！」

A 「はひって。お砂糖は？ミルクは…ごめん、ないや」

「俺、ブラック飲めます！」

A 「じゃ、このままで。美味しいうちにどうぞ」

目の前に置かれた桜柄のコーヒーマグ

これは俺を意識してるのか？

「いただきます。…あっつ！あ、ふっ、うめぇ〜」

A 「市販の溶かすだよ？そんなに美味しい？」

Aさんが入れてくれるやつなら何でも！

「うまいっす」

『ふふ、嬉しい』そう言って笑う社長に俺はもうメロメロだ

時間よ止まれ、そしてこの幸せよ永遠に続け

なんて思っても時間は進み続ける

今だ今しかない

「俺、Aさんが好きです」

彼女の手を掴み、その瞳を見つめた

吸い込まれてしまいそう

A 「あ、えっ、と…」

社長の目が泳ぐ

「社長。俺だけを見て欲しいんです」

数日後、居ても立っても居られない俺は彼女を呼び出す

「告白の返事、聞かせてくれないんすか？」

A 「…」

俯く彼女
そんな姿すらも愛おしくて抱きしめたい

「Aさんといると楽しいっつーか、仕事頑張れるんです。こんなに人に惹かれるの生まれて初めてなんです」

A 「…うん。私でよければ付き合ってください」

社長に恋するなんて思ってもいなかったけど

その想いが通じたんだ

「やばっ、超嬉しい」

俺は思わずAさんを抱きしめた

彼女の鼓動が俺に伝わり、俺の鼓動が彼女に伝わる

A 「すごくドキドキしてる」

「うっせぇ。Aさんもだよ」

A 「一緒だね」

絶対幸せにするから

俺は強く心に誓った