明日は公休と致します【S.S】 (ページ21)

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数日後、俺は思い切って社長の誘いに乗った

仕事の付き合いをプライベートまで持ち込みたくなかったけど、これは話が別

『自分を甘やかす方法を特別に教えてあげる』って楽しそうに笑う彼女に、俺の心臓はドキドキバクバク

これは、デートというやつですか？

「いらっしゃいませ、こんにちは」

連れてこられたのは犬カフェ

客層はカップルか、女の子のペアがほとんどで…

俺らは友人でも交際しているわけでもない

ただの社長と一社員だ

A 「ほら、行きましょ？」
そう言って社長は俺の右手を取って中へ入っていく

「あの…社長。お金…」

A 「しっ！今日は社長呼び禁止。お金のことは気にしないで。私が勝手に誘っただけだから」
そう言って人差し指を自分の唇に持っていった

ひとつひとつの仕草が可愛くて、艶やかで、

なんていうか、俺の心臓が持ちませーん！

店員「ご来店ありがとうございます。つい先日産まれた子がいるので連れてきますね？こちらに掛けてお待ちください」

そう言って案内されたのは2人掛けのソファ

俺たち、カップルだと思われてる…？

「なんか距離、近くないっすか？」

A 「え、そういうの気になる？」

「あ、いや、気になりません。しゃ、…あっAさんが気にならないなら」

A 「じゃ、このままで」

嘘。気にならないわけない
このドキドキが君に聞こえてしまわないか不安です

もしかして意識してるのって、俺だけ？

「Aさんは全然意識してくれないんですね」

A 「ん？」
と首を傾げるだけで、態度はいつもと変わらない

気まずい非常に気まずい

変なことは言うもんじゃないな…

ほんの数分が何時間にも感じる

店員「お待たせしました。この子なんですけど…」

そう言って一匹の子犬を連れてきた

櫻井翔、運命の子に出会いました

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

垂れた耳、くりくりの目、ふっくら見える上唇は厚く下唇をわずかに覆う、全てがたまらない

あの時、図鑑で見つけたチェリー以来の衝撃

やばいなこのかわいさ

A 「ふふふ、こういう子、好きみたいね？」
隣でやさしく微笑む社長

「どえれーかわいいじゃん、お前」
俺が撫でると目を細める

あー、やばい
蕩ける可愛さってこういうこと言うのかな…

俺は我を忘れ、その子と戯れた

『かわいい…』って彼女が、俺に言ってるのなんて気付かないくらい、俺はその子に、キャバリアに夢中になっていた