明日は公休と致します【S.S】 (ページ3)

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カレに出会ったのは、仕事の人間との相性が悪くて、むしゃくしゃしてた時に起業しようと出かけた先の商業ビルだった

その屋上で、猛アプローチを受けて付き合い始めた私たち

『その顔、他所の男に見せんな』『可愛すぎて俺死んじゃう』と私には勿体無いくらいの甘い言葉を囁くカレが私の自慢だった

互いに忙しくてなかなか会えないからか、カレは自分の友達と会う場に何度も私を連れて行ってくれた

学生の頃から人間関係に苦労して
友達の少なかった私は
友達が増えたような気がして楽しかった

『素敵な彼女さんですね』『あいつのあんな顔初めて見ましたよ』なんてカレの友達たちにも心から感謝していた

そう付き合って3年

お互い30歳になったし、立ち上げた会社も軌道に乗ってきたしそろそろ結婚も考えなくちゃね…

土木作業員、いわゆる土方の仕事に就いたカレ

最初はなかなか上手くいかず叱られてばっかりいたけど、最近はようやく後輩ができ、上の方の仕事を任せられるようになってきたとはしゃいでいた

一方私の方は、ビルの一室に会社を立ち上げた

代表取締役社長、なんていっても小さな会社

営業は自分でも行くし、だけどみんなものづくりが好きで、お互いを高め合える、そんな会社だ

電話を切った後重い腰が上がるわけもなく、私はカレのSNSを開いた

そこにはカレの思い出が記録として残してあった

自分が初めて携わったと語っていたビル

私たちが出会った屋上

2人で年に12回は行きたいね、と語っていた寺社仏閣

自分たちは写さず影を写す、それが私たちのやり方だった

『ふたつだった影が重なってひとつ、なんちって』そう言ってカレが笑う

それを聞いて私も笑う

ストーリーは更新されてなかった

さすがに男友達と行った写真はまだ更新しないか

でも昔の写真見てたら会いたくなっちゃうな

そんな時、一通のLINEが届く

それが私たちの歯車を狂わせた