明日は公休と致します【S.S】 (ページ19)

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少しずつ自分1人で任せられる仕事も増え、残業の日々が続いていた

『定時で上がれ』そう言ってくれる社長の言葉を裏切る形にはなるが俺はきっちりキリのいいところまでやりたい性分だ

今日は残業、俺だけかなー

雅紀「翔ちゃーん！先帰るねーおつかれさまー」

和也潤「「翔さーん、お先でーす」」

みんながそれぞれ声をかけてくれる

「おーう、おつかれ〜！また明日ー」

少しずつ打ち解けられたメンバーとも今はタメ口の仲だ

さて、今日のチェリーは、っと

A 「ふふ、幸せそうな顔しちゃって。チェリーちゃんのことでも考えてた？」

…見られてた

気付くと社内には社長と俺の2人だけ

「社長も見ます？」

A 「ぜひ見せて？」

写真フォルダの写真を見せると、ふふふ、と口元を綻ばせる

A 「このクリクリのお目目、首をかしげる仕草、たまらな〜い。所定外労働時間の癒し、って大切よね」

「で、ですね」

A 「チャリーちゃんパワーもらったことだし、もうひと頑張りしなきゃ」

椅子に座り直すと、社長は再び真剣な顔で仕事に没頭し始めた

ペラペラとページを捲る音とカタカタとなるキーボードが社内に響く

社長、本当に頑張ってるよな

前回の資料紛失事件があってから周りからの風当たりがキツくなったウチの会社

社長の心労は計り知れない

信頼回復に向けて仕事の手を一切緩めない、そんな姿勢から彼女の、会社に対する愛みたいなもんが伝わってくる

少しでも貢献できるように、俺も頑張んねえとな

どのくらい経っただろう

ふと社長の席に目を向けるも彼女の姿はない

先に帰った？それとも休憩？
そう思ったその時…

A 「これ、さっきのお礼ね？」
そう言って置かれたコンビニの袋

中にはおにぎりとペットボトルのお茶

「夜食なら俺買いに行ったのに！」

A 「この時間だとあんまり残ってなくてね、おかかで良かったかな？」

「おかか、ありがとうございます」

A 「みんなあんな感じだし、櫻井にはプレッシャーかけてるわよね。ごめんね」

「…別に、プレッシャーだと思ってないですから。社長が謝ることじゃないです」

A 「ありがとね、櫻井」

もっと頼ってくれていいのに
俺、そんなに頼りねえかな…

そう思ってハッとした

これは会社のために思ってるんじゃない…
俺、社長のこと…

A 「さ、早く帰って美味しいご飯食べよ」

社長のふんわりとしたその笑顔に、俺の胸はときめきを覚えた