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とある休日、久しぶりの1日休みが出来た私はアニマルカフェに行った帰りにバーに立ち寄った
やっぱり動物って癒やされるのよね
有名スポットをお忍びで楽しめたことに満足しつつ、店内の空席を探していると…
ん？アレは…
疲れた顔をしているように見える彼は、真ん中の席で1人携帯を見つめている
これは声をかけるべき？
今までの私なら"プライベートで会社の人を偶然見かけたら声をかけますか？"と聞かれたら、迷わずNOと答えていた
躊躇しながら、ごく普通に、あくまで自然に見えるように近づくと彼の携帯の画面が見えた
犬…？
てっきり仕事の書類でも読んでるのかと思った
でも、犬を見てるには明らかにお疲れモードな表情
癒されてきた私と彼の表情は真逆
気になるものの声をかけるきっかけがない…
実を言うと、私も外では声をかけられたくない側の人間
プライベートで仕事の話を振るのもな…
「あー犬飼いたいなー」
？「へ？しゃ、社長！！」
「そんなびっくりしなくてもいいじゃない。取って食いやしないんだから」
振り返った彼は目を丸くした
隣に座ることを許された私は、左から手を伸ばし携帯をトントンと指差す
「この子、あなたの家で飼ってるの？」
翔 「いえ、飼いたくてたまらないんです」
え？飼ってないの？
翔 「こいつチェリー、って言うんです。可愛いでしょ？」
「チェリーって名前なの？あれ？さっき飼ってないって。なんでチェリーってなの？まさか、櫻井だからチェリーとかじゃないわよね？」
翔 「笑わないで聞いてくれます？この犬種が日本スピッツって言うんですけど、俺のカラオケの十八番が中2の時からスピッツのチェリーだからチェリー、っす」
「ふふふ」
ちょっと不思議ちゃんというか、面白いところがあるのね、あなたって
翔 「ちょ、ちょっと！笑わないで、って言ったじゃないですか！」
「ごめんなさい。我慢できなくて」
翔 「ガキの頃、妹と弟と結託したことあったんすけど、そん時も母親に色々バレちゃって無しになりました。それからずっと妄想で飼ってます」
そう言って彼は恥ずかしそうに笑った
空想のペットへのネーミングセンスといい、家族愛、初めて見る私服姿がいつもと違う表情で新鮮に感じた
そっか…犬が好きってことは動物好きって事よね？
…今度彼を息抜きにでも誘ってみようかしら
うーん やっぱり私とは嫌かな…
私を不思議そうに見る彼をよそに、色んなことを考える私だった
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作者名：ぽよりん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/hp/
作成日時：2023年12月15日 0時
