49 ページ49
.
A「5年前の続きする?笑」
彼女の口から放たれた言葉は目の前を一瞬で暗闇に変えた。
これは“復讐”なんだ。
もうあの柔らかな笑顔は見られないのかな。
彼女は突然羽織っていたブラウンのジャケットを脱ぎ捨てると眉間に皺を寄せてこちらを睨んだ。
「ちょっと…、そんなつもりじゃないんだけど俺…」
露わになった肌に動揺して慌ててそれを拾おうとしゃがむと、上から感情剥き出しの心の叫びが重くのし掛かった。
A「私もあの日、そんなつもりじゃなかったんですけど。」
全身の力が抜けて、地面にへたり込んだ。
そして、追い討ちをかけるように…
A「西島くんはきっと分かっていたはず。私が当時あなたのこと好きだったこと…」
彼女の衝撃的な言葉に
俺は…
完全に思考が停止した。
彼女が俺を好きだったなんて考えもしなかったのは
きっと、彼女の事を俺はこれっぽっちも見ていなかったから、だ。
世界で一番悲しい告白は、俺をもう二度と這い上がらせない為の言葉としては充分過ぎた。
いつまでも顔を伏せることしか出来ないでいる俺に彼女は、耳を覆いたくなる程悲しい5年間の出来事を話して聞かせた。
そしてあの日の代償はあまりにも大きく、彼女の心を修復不可能なまでに壊してしまったと思い知らされた。
しんと静まりかえる室内に
あの時言えなかった心の声を吐き出した。
「…俺の事が忘れられない様にしたかった…」
俺が彼女に言えることは
あの時の素直な気持ちだけ。
“忘れられたくなかった”
答えは情けない程単純で
隣にいられないのならどんな記憶でもいいから
キミの中の強い記憶の中で生きていたかった。
つらつらと彼女への思いを吐き出していたら…
キミの心の隙間をやっと見つけて
「さっき言ったこと、本当?…5年前の続きする?って。」
最初で最後の賭け。
わかってるけど、塗り替えたい…
…俺の記憶を
忘れさせてあげる事は出来なくても
そこには色があって
それは決して黒ではない事だけは彼女に残しておきたい…
憎悪で張り巡らせたバリアの距離を
ぐんと狭めて重ねた唇。
焼ける様に熱くて甘くて
溜息が出るほどに
君は…
「やっぱり綺麗……」
.
.
327人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時