47 ページ47
.
長谷川『もしもーし!着いたか!今、駅前の◯◯。うん、うん!じゃあ後でな!』
駅前の居酒屋でもう飲んでいるらしい長谷川を気遣い、少し早歩きで店へと向かう。
長谷川「おうっ、久しぶりっ!」
さっきの電話口から聞こえた元気な声とは明らかに違う、落ち込んだ様子の長谷川が一人ちびちびとビールを煽っていた。
「おうっ!てか何だよ、なんかあったか?」
対面に座ると、もう2つの飲みかけのグラスが置いてあった。
「ほかに誰か来てんの?」
特に何も考えず、長谷川に問いかけると少しの間を置いてゆっくり口を開き
長谷川「なあ、ずっと聞かなかったけどAとなんかあったのか?吉岡の葬式の後…。」
目線は外されたまま唐突に、俺にそう投げかけた。
「いきなりなんだよ!…何もないよ。」
自分一人の感情だけであの出来事を話すことがどうしても出来ず、咄嗟にはぐらかした。
長谷川「そうか…。ごめん変な事聞いて。さっきまで美幸とAと一緒に居たんだ。西島が来るって悟った瞬間Aが飛び出していっちゃって…。だから何か知ってるかと思ってな。」
寂しそうにそう話す長谷川に申し訳なくて暫く返す言葉を模索した。
長谷川「すまん!折角の再会なのにな!よし、飲もうぜ!何飲む?」
無理して繕う長谷川に合わせて明るく振る舞った。
「生にしようかな〜!てか松川達何飲んでたの?勿体無いことしやがって笑」
飲みかけのドリンクは氷も溶けきれておらず、今さっきまでそこに居たことを物語る。
綺麗なオレンジのグラデーションのカクテルに口をつけた。
長谷川「Aが飲んでたやつだ、それ。カシスオレンジ。女子好きだよなーそのカクテル。」
昼間見た彼女が蘇る。
「なぁ、Aちゃんに会ったのいつぶり?」
長谷川「吉岡の葬式の日以来だよ。あれから一度も戻ってきてなかったんだ。だから俺も5年ぶりだよAを見たのは。」
彼女の雰囲気が変わってしまったのは自分のせいなのかもしれない。
あれから自責の念に駆られて過ごしてきたとはいえ、彼女のその後の5年間を知り得ない俺に彼女の何がわかるというのだろう。
暫く2人で他愛もない話をして、少し早めに店を出た。
店の外で少し談笑していると長谷川の顔が一気に険しくなった。
327人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時