42 ページ42
.
「日高…俺な……」
話す必要なんてないし、聞きたいかどうかもわからないのに
ポツポツと過去の記憶を紐解きながら日高に話しはじめていた。
「こんなつもりじゃなかったんだ。今となってはこれで良かったのかとも少しは思えるようになったけど…」
歌が歌いたい一心で上京したあの頃。現実は描いていたものとは違っていて
心をすり減らし、自分を消してまるで他人を演じる様にしたくもない仕事をする毎日。
突然組まれたメンバーと四六時中共に過ごし、何度となく衝突をしてきた。
将来のビジョンはちゃんと出来上がっていたのにどんどん遠ざかり、自分を分かってくれる人間は誰一人居ない中で、もがき苦しみながら何とかこの世界にしがみつく自分の惨めさ…
そんな情けない自分を少しでも救いたくて、昔のように擦り寄ってくる女達を抱いては自分の存在価値を確認して…
「分かってんだ。こんな事間違ってるの…。全然説得力無いだろうけどな…笑。」
一気に話した事と自らの胸の内を明かした緊張から喉の渇きが襲い、烏龍茶の入ったグラスを一気に飲み干した。
日高「なあ、西島。ナナがいってたぞ笑 西島は、マグロだったって。笑」
「…えっ?」
一瞬、日高が何を言っているのか分からず言葉の意味を必死に考えていると
日高「お前がちゃんとイケナイコトしてる自覚があるのは分かってるよ。俺は、な笑」
すみませーん。と手を挙げて店員を呼ぶと「生2つ。」と注文を入れて話を続けた。
日高「ナナに指一本触れなかったってな。ナナが一方的にお前を喰ったって自慢げに話してたわ。だからこそ、もうやめろって早くお前に言いたかった。」
サラッと話す日高の表情はどこまでもクールで、何を考えているのか全く見当もつかない。
日高「なあ…。偽った自分でいるのをもうやめろよ。時間の無駄なんだよバーカ。」
ズバッと痛いとこを突かれて日高を改めて見る。
日高「そんな事しなくたってお前の存在価値は充分すぎるほど見出せる筈だぞ?こんなに賢い俺がお前と同じグループに属して離れてないんだからな?笑」
はははっと高笑いして肩をひとつバシンと叩くと
日高「西島ー。俺はなぁ、お前に嫉妬してばっかなんだぜ?だから、がっかりさせるなよ。」
真剣な瞳を向けて警告の様に、重く強く俺の心に投げかけた。
.
.
327人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時